最判昭和52年7月19日
再訴禁止(旧民訴法237条2項・現262条2項)の「同一の訴え」は、当事者・訴訟物に加え、訴えの利益・必要性まで同じ訴えをいう
出題:予備H30・予備R5・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和51(オ)1196 建物収去土地明渡
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第31巻4号693頁
- 参照法条
- 民訴法237条2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
民訴法二三七条二項にいう「同一ノ訴」の意義
裁判要旨
民訴法二三七条二項にいう「同一ノ訴」とは、単に当事者及び訴訟物を同じくするだけではなく、訴の利益又は必要性の点についても事情を一にする訴をいう。
解説
事案
X(被上告人)所有の土地上に、Dが昭和21年ころ平家建の(10)建物を建てた。Dはその一部である(7)〜(9)建物を賃貸した。(7)建物は当初訴外Eに、昭和26年ころからは上告人A1に、(8)建物は上告人A2・A3に、(9)建物は上告人A4に貸した。賃借人らはDの承諾を得て、(7)〜(9)建物の西側に(4)〜(6)建物を増築した。増築部分は外部との出入りが既存部分を通るほかなく、既存部分と一体で店舗兼居宅として使われており、構造的にも機能的にも独立性を欠く不可分の状態にあった。
Xは昭和29年、Dを被告として(10)建物の収去・土地明渡しを求める別件訴訟を提起し、第一審で勝訴した。ところが控訴審でDが「旧建物は賃借人らの増改築で現状が著しく変わり、実在しなくなった」と主張した。Xは収去請求を維持できないと誤認し、土地の賃借権不存在確認請求へ訴えを変更して、勝訴判決が確定した(昭和39年)。
その後、Dが従前の主張を変え、(7)〜(9)建物は自己の所有であると主張するに至った。そこでXは、(1)〜(3)建物(増築後の一体建物)の収去・敷地明渡しを求めて本訴を提起した。この本訴が再訴禁止に触れるかが争われた。
争点
- 旧民訴法237条2項(現262条2項)にいう「同一ノ訴」の意義
- 控訴審における訴えの交換的変更が旧訴の取下げに当たるか
- 訴訟物が同一でも、新たな訴えの利益・必要性があれば再訴が許されるか
判旨
上告棄却。再訴は許される。
規範
- 再訴禁止の「同一ノ訴」とは、単に当事者及び訴訟物を同じくするだけでなく、訴えの利益又は必要性の点についても事情を一にする訴えをいう。
- 新訴が旧訴と訴訟物を同じくする場合でも、再訴の提起を正当ならしめる新たな利益又は必要性が存するときは、同条項は適用されない。
あてはめ
- 増築部分は民法242条本文により既存部分に附合し、Dの所有に帰する。
- 控訴審での訴えの交換的変更は旧訴の取下げに当たる。
- したがって、本訴の第一次請求は、別件で取り下げられた請求と訴訟物を同一にする。
- しかし、Xが附合関係を誤認して訴えを変更したことには無理からぬところがあった。
- また、別件確定後にDが主張を変えて(7)〜(9)建物の所有を主張した以上、Xには本訴を提起・維持する新たな必要がある。
- よって、再訴禁止は及ばない。
判決文から
「民訴法二三七条二項は、終局判決を得た後に訴を取下げることにより裁判を徒労に帰せしめたことに対する制裁的趣旨の規定であり、同一紛争をむし返して訴訟制度をもてあそぶような不当な事態の生起を防止する目的に出たものにほかならず」
再訴禁止の趣旨(制裁+濫用防止)を示す部分
「同条項にいう「同一ノ訴」とは、単に当事者及び訴訟物を同じくするだけではなく、訴の利益又は必要性の点についても事情を一にする訴を意味し」
「同一の訴え」の定義=答案の規範
「たとえ新訴が旧訴とその訴訟物を同じくする場合であつても、再訴の提起を正当ならしめる新たな利益又は必要性が存するときは、同条項の規定はその適用がないものと解するのが、相当である。」
訴訟物同一でも再訴可能となる場合を明示
「控訴審においてされた訴の交換的変更の場合には旧訴については訴の取下があつたものと認めるべきであるから」
交換的変更が再訴禁止の問題となる前提
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
