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最判昭和52年12月22日

刑法175条後段の「販売ノ目的」は日本国内で販売する目的をいい、専ら国外で販売する目的での所持には同罪は成立しない。

刑法自由・名誉・信用に対する罪本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H23・司法H28・予備H28・予備R4

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和51(あ)783 猥せつ図画所持、同販売
裁判
判決・その他
判例集
刑集 第31巻7号1176頁
参照法条
刑法175条後段

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

刑法一七五条後段にいう「販売ノ目的」の意義

裁判要旨

刑法一七五条後段にいう「販売ノ目的」とは猥せつの図画等を日本国内で販売する目的をいい、日本国外で販売する目的を含まない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人Cは、スウェーデンのポルノ書籍販売業者から男女の性交場面や性器等を露骨に撮影した写真原板を買い受けた。そして、東京都内の印刷業者にカラー写真雑誌を多数製作させ、国内で販売するなどしていたが、昭和49年2月に検挙され、雑誌は押収された。

その後Cは、アメリカ商社の日本駐在員などをしていた被告人Aを介して、写真原板をアメリカで売却しようと考えた。そこで同年11月初旬ころ、Aに原板32枚を預けた。Aは引き受けた後、国際電話でアメリカの業者数社と売却交渉をした。

C・Aは、共謀のうえ東京都内のA方で販売目的で原板を所持したとして起訴された。弁護人は「アメリカで販売する目的にすぎない」と主張した。原判決はこれを退け、次の2点を理由に第一審の有罪判決を維持した。

  • 175条は販売目的で所持する以上処罰する趣旨であり、国内販売目的に限られない。
  • 国内で販売する意図が全くなかったとは断定し難い。

争点

  • 刑法175条後段の「販売ノ目的」に日本国外で販売する目的が含まれるか
  • 本件原板の所持につき日本国内で販売する目的が認められるか
  • 法令解釈・事実認定の誤りがある場合に刑訴法411条により原判決を破棄すべきか(被告人ごとの判断)

判旨

結論:被告人Aについては原判決・第一審判決を破棄して無罪とした。被告人C・Bの上告は棄却した。

規範:175条は、わが国の健全な性風俗を維持するため、日本国内でわいせつ物が頒布・販売・公然陳列されることを禁じる趣旨の規定である。したがって、同条後段の「販売の目的」とは日本国内において販売する目的をいう。わいせつ図画等を日本国内で所持していても、日本国外で販売する目的にすぎない場合には、同条後段の罪は成立しない。

あてはめ:Cが原板をAに委託した主な動機は売却代金の取得であり、アメリカでの売却はその方便にすぎないとみられる。しかし、起訴対象の所持の時点で、C・Aが日本国内で売却する目的も併せ持っていたと断定することは困難である。よって国内販売目的の証明は不十分とされた。

判決文から

「刑法一七五条の規定は、わが国における健全な性風俗を維持するため、日本国内において猥せつの文書、図画などが頒布、販売され、又は公然と陳列されることを禁じようとする趣旨に出たものであるから」

保護法益=国内の健全な性風俗という解釈の出発点

「(このことは、刑法二条、三条の国外犯の処罰例中に同法一七五条が掲げられていないことから明らかである。)」

国外犯規定の不存在を論拠とする点

「同条後段にいう「販売の目的」とは日本国内において販売する目的をいうものであり、したがつて、猥せつの図画等を日本国内で所持していても日本国外で販売する目的であつたにすぎない場合には同条後段の罪は成立しないと解するのが相当である。」

判旨の規範そのもの

「日本国内で売却する目的をも合わせもつていたと断定することも困難なところであり、結局、被告人両名の右写真原板の所持について、日本国内で販売する目的があつたとの証明は十分でないといわなければならない。」

国内販売目的の併存の有無を検討したあてはめ

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。