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神戸税関事件

最判昭和52年12月20日

公務員の懲戒処分は懲戒権者の裁量に属する。裁判所は社会観念上著しく妥当を欠く場合に限り違法とすると示した。

行政法行政裁量行政行為(効力・瑕疵)行政法の一般原則本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H22・司法H23・司法H24・予備H24・予備H28・予備R8

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和47(行ツ)52 行政処分無効確認等、附帯
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第31巻7号1101頁
参照法条
国家公務員法98条1項,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)82条,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)84条,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)98条5項,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)101条1項,人事院規則141(昭和24年5月9日施行)3項,行政事件訴訟法30条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一、職員の行為が国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項に違反する場合と同法九八条一項、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項違反 二、公務員に対する懲戒処分の適否に関する裁判所の審査 三、争議行為等の禁止規定違反などを理由としてされた税関職員に対する懲戒免職処分が裁量権の範囲を超えこれを濫用したものとはいえないとされた事例

裁判要旨

一、職員の行為が国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項に違反する場合であつても、それが同法九八条一項、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項の違反となることを妨げられない。 二、裁判所が懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と右処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法と判断すべきものである。 三、勤務時間内の職場集会、繁忙期における怠業、超過勤務の一せい拒否等の争議行為に参加しあるいはこれをあおりそそのかしたことが国家公務員法の争議行為等の禁止規定に違反するなどの理由でされた税関職員に対する懲戒免職処分は、右職場集会が公共性の極めて強い税関におけるもので職場離脱が職場全体で行われ当局の再三の警告、執務命令を無視して強行されたこと、右怠業が業務処理の妨害行為を伴いその遅延により業者に迷惑を及ぼしたこと、右超過勤務の一せい拒否が職場全体に及び業者からも抗議が出ていたこと、職員に処分の前歴があることなど判示のような事情のもとでは、社会観念上著しく妥当を欠くものとはいえず、懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えこれを濫用したものと判断することはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

神戸税関の職員で、組合の支部長・書記長・執行委員であった被上告人ら3名が、昭和36年に次の行為をした。

  • 組合員Dへの懲戒処分に抗議し、官房主事室に多数でつめかけ、罵声を浴びせた(被上告人B1の行為)。
  • 税関長の警告・執務命令を無視し、勤務時間にくい込む職場集会を開き、庁内デモを指導した。
  • 繁忙期に人員増加要求を貫徹するため、処理件数を低下させ、超過勤務や重点審査の指示を妨害した。
  • 超過勤務命令撤回願を一斉に提出させ、職員を講堂に集めて通関業務を止めた。

神戸税関長はこれらを理由に被上告人らを懲戒免職とし、被上告人らが取消しを求めた。

原審(大阪高裁)の判断は次のとおりである。

  • 職務命令違反・職務専念義務違反等は争議行為に通常随伴するもので、規制は専ら旧国公法98条5項による。
  • 争議行為の許否の限界判断が難しいこと等を考慮すると、免職は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量の範囲を超える。

こうして原審は処分を取り消した。税関長が上告した。

争点

  • 争議行為禁止規定(旧国公法98条5項)に違反する行為が、同時に職務命令服従義務(98条1項)・職務専念義務(101条1項)・人事院規則14-1第3項の違反となるか
  • 公務員に対する懲戒処分の適否について、裁判所はどのような方法・基準で審査すべきか
  • 本件懲戒免職処分が裁量権の範囲を超え、またはこれを濫用したものといえるか

判旨

原判決のうち上告人敗訴部分を破棄し、第一審判決を取り消して請求を棄却した(破棄自判)。

懲戒裁量の所在

  • 懲戒事由がある場合、懲戒処分を行うかどうか、どの処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されている。
  • 懲戒権者は、行為の原因・動機・性質・態様・結果・影響、行為前後の態度、処分歴、選択する処分が他の公務員・社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して決定できる。

審査基準(規範)

  • 懲戒処分は、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、違法とならない。
  • 裁判所は、懲戒権者と同一の立場に立って処分すべきか・どの処分を選ぶべきかを判断し、その結果と処分を比べて軽重を論ずべきではない(判断代置の否定)。

旧国公法98条5項と他の義務違反の関係

  • 争議行為禁止規定違反の場合でも、98条1項・101条1項・人事院規則14-1第3項の違反となることは妨げられない。
  • したがって、82条1号・3号に該当しうる。

あてはめ
本件の各行為の性質・態様・情状と処分歴に照らせば、免職は社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、裁量権の濫用ではない。

判決文から

「懲戒権者が右の裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。」

社会観念審査の規範そのもの

「懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく」

裁判所による判断代置を否定した部分

「懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して」

懲戒権者が考慮できる事情の列挙

「平素から庁内の事情に通暁し、都下職員の指揮監督の衝にあたる者の裁量に任せるのでなければ、とうてい適切な結果を期待することができないものといわなければならない。」

裁量を認める実質的根拠(判断の適格性)

「職員の行為が争議行為禁止規定(国公法九八条五項)に違反する場合であるからといつて、右行為は、国公法九八条一項、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項の違反となることを妨げられるものではなく」

争議行為でも職務命令違反等が成立する

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。