写真コピー事件
公文書の写真コピーも原本と同様の機能・信用性を有する限り公文書となり、名義人は原本作成名義人であるとした判例
出題:司法R2・予備R2・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和50(あ)1924 業務上横領、詐欺、有印公文書偽造、同行使
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 刑集 第30巻3号453頁
- 参照法条
- 刑法155条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
公文書の写真コピーの作成が公文書偽造罪にあたるとされた事例
裁判要旨
行使の目的を以って、虚偽の供託事実を記入した供託書用紙の下方に真正な供託金受領証から切り取った供託官の記名印及び公印押捺部分を接続させ、これを電子複写機で複写する方法により、あたかも、公務員である供託官が職務上作成した真正な供託金受領証を原本として、これを原形どおり正確に複写したかのような形式、外観を有する写真コピーを作成した所為は、刑法一五五条一項の公文書偽造罪にあたる。
解説
事案
行政書士の被告人は、供託金の供託を証明する文書として使う目的で、昭和48年7月から12月にかけて5回、次の方法で写真コピー5通を作った。
- 旭川地方法務局の供託官A作成名義の真正な供託金受領証から、供託官の記名印と公印の押捺部分を切り取る。
- それを、虚偽の供託事実を記入した供託書用紙の下に接続し、電子複写機で複写する。
コピーに認証文言はなく、作成者も明示されていない。このうち2通は、宅地建物取引業法25条に基づく営業保証金供託済届の添付資料として提出され、異議なく受理された。残り3通は、詐欺の発覚を防ぐため被害者に交付され、受け取った者は原本と信じるか、同一内容の原本の存在を信じて受領した。
第一審と原審(札幌高裁)は、一見して複写と分かる写は原本作成名義人の意識内容を直接表示しないとして、内容虚偽の私文書にすぎず公文書に当たらないと判断し、この部分を無罪とした。検察官は名古屋高判昭和48年11月27日との判例違反を理由に上告した。
争点
- 公文書の写真コピーが公文書偽造罪(刑法155条1項)の客体たる「公文書」に当たるか
- 写真コピーの作成名義人は誰か(コピー作成者か、原本作成名義人か)
- 原本作成名義人の印章・署名が複写されている場合に「有印」公文書といえるか
- どのような写真コピーの作成が作成名義の冒用(偽造)に当たるか
判旨
原判決と第一審判決を破棄して自判し、有印公文書偽造罪(刑法155条1項)と同行使罪(158条1項)の成立を認めた。
規範
- 公文書偽造罪の客体は原本に限られない。写であっても、原本と同一の意識内容を保有し、証明文書として原本と同様の社会的機能と信用性を有する限り、公文書に当たる。
- 写真コピーは、文書本来の性質上原本と同様の機能・信用性を有しえない場合を除き、公文書偽造罪の客体となりうる。
- その名義人は原本作成名義人であり、印章・署名が複写されていれば有印公文書となる。
- 真正な原本を何の作為も加えずにコピーするのは名義の冒用ではない。これに対し、次のように写真コピーを行使の目的で作成することは、公務所・公務員の作成名義を冒用した公文書偽造に当たる。
- 原本の作成名義を不正に使い、原本と異なる意識内容を作り出すこと
- 原本がないのに、公務所・公務員の作成名義を写真コピー上に現出させること
本件コピーは原本と同様の社会的機能と信用性を有し、供託官作成名義の有印公文書に当たる。
判決文から
「たとえ原本の写であつても、原本と同一の意識内容を保有し、証明文書としてこれと同様の社会的機能と信用性を有するものと認められる限り、これに含まれるものと解するのが相当である。」
写の文書性を判断する一般規範
「文書本来の性質上写真コピーが原本と同様の機能と信用性を有しえない場合を除き、公文書偽造罪の客体たりうるものであつて」
写真コピーの客体性と除外例
「この場合においては、原本と同一の意識内容を保有する原本作成名義人作成名義の公文書と解すべきであり」
名義人は原本作成名義人とした点
「権限ある写作成者の認証があると認められない限り、原本である公文書と同様の証明文書としての社会的機能を有せず」
手書きの写との区別
「真正な公文書原本そのものをなんら格別の作為を加えることなく写真コピーの方法によつて複写することは原本の作成名義を冒用したことにはならず」
単純複写は偽造でないとする限界
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
