東大地震研事件
建物に接する土地を管理者が囲障で附属地と明示すれば、囲障が仮設・一時的でも囲繞地として建造物侵入罪の客体になる
出題:司法H24・司法H26・司法H29・司法R3・予備H29・予備R2・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和49(あ)736 建造物侵入
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第30巻2号79頁
- 参照法条
- 刑法130条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
建造物侵入罪の客体となるいわゆる囲繞地にあたるとされた事例
裁判要旨
国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地(判文参照)は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するものである以上、囲障設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認めうるものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかを問わず、同研究所建物のいわゆる囲繞地として、建造物侵入罪の客体にあたる。
解説
事案
国立大学(C)の構内にある附置研究所(A)の建物の南側に本件土地があった。本件土地は、長年、各通用門から構内の各建物やグラウンドへ向かう通路として、また大学職員・学生・外来者の駐車場として使われてきた。A建物の管理権者はA所長、本件土地を含む周辺土地の管理権者はC総長である。
A所長は、昭和45年11月21日付でC総長から周辺土地の管理権の委任を受けた。同月29日、既存の塀・通用門・テニスコートの金網などをつなぐ形で金網柵を構築し、通路を遮断して職員以外の立入りを禁止した。
翌30日、被告人らは百数十名の学生らと意思を通じ、南側通路の金網柵(高さ2.24m、幅16.3m)の東側部分約9mにロープをかけて引き倒し、構内へ乱入した。
- 第一審:建造物侵入罪の共同正犯(刑法60条、130条前段)とし、各懲役3月・執行猶予2年とした。
- 原審:本件土地は本来A建物固有の敷地ではなく、金網柵も一時的に立入りを阻止するものにすぎないから囲繞地に当たらないとして、無罪とした。
検察官が上告した。
争点
- 刑法130条の「人の看守する建造物」に囲繞地が含まれるか
- 囲繞地と認めるための要件は何か
- 囲障設置前の土地の利用状況や、囲障が仮設的・一時的であることは囲繞地該当性に影響するか
判旨
原判決破棄・差戻し(刑訴法411条1号による職権破棄)。
規範
- 刑法130条の「人の看守する建造物」は建物だけでなく、その囲繞地を含む。
- 囲繞地といえるには、次の2点を満たせば足りる。
- ①その土地が建物に接してその周辺に存在すること
- ②管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示されること
新設の柵で囲障が完成した場合
- 囲障が既存の門塀に新設の金網柵を加えて完成したものでも、金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止し得る程度の構造を有する以上、次の点は問わない。
- 囲障設置前の管理・利用状況からみて本来建物固有の敷地といえるか
- 囲障が仮設的構造で、設置期間も初めから一時的なものと予定されていたか
あてはめ:既存の塀・通用門・テニスコートの金網を金網柵で連結して完成した一連の障壁に囲まれた土地は、A建物の囲繞地である。その中にある本件土地は建造物侵入罪の客体に当たる。
判決文から
「このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる」
囲繞地の定義。答案にそのまま書ける規範
「囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかは問わないものと解するのが相当である」
仮設・一時的な囲障でも足りるとした点
「建物の囲繞地を刑法一三〇条の客体とするゆえんは、まさに右部分への侵入によつて建造物自体への侵入若しくはこれに準ずる程度に建造物利用の平穏が害され又は脅かされることからこれを保護しようとする趣旨にほかならない」
囲繞地を保護する根拠=建造物利用の平穏
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
