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群馬中央バス事件

最判昭和50年5月29日

諮問機関の答申過程に重大な瑕疵があれば処分は違法となるが、結果に影響する可能性がない手続の不備は取消事由にならないとした判例

行政法行政行為(効力・瑕疵)行政手続法行政立法・行政計画本試験で 2 問(短答 0・論文 2)

出題:司法H28・司法R3

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和42(行ツ)84 一般乗合旅客自動車運送事業の免許申請却下処分取消請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第29巻5号662頁
参照法条
道路運送法4条,道路運送法122条の2,運輸省設置法6条1項7号,運輸省設置法16条,運輸審議会一般規則1条,運輸審議会一般規則第4章

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し運輸審議会の公聴会が開催された場合における陸運局長の聴聞手続の瑕疵と運輸大臣の処分の適法性 二、諮問を経て行政処分がされるべき場合における当該諮問機関の審理、決定、(答中)の過程の違法と右行政処分の適法性 三、一般乗合旅客自動車運送事業の免許両関する運輸審議会の公聴会における審理手続 四、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し諮問を受けた運輸審議会の公聴会における審理手続の瑕疵が右諮問を経てされた運輸大臣の免許の拒否処分の取消事由にならないとされた事例

裁判要旨

一、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し運輸審議会の公聴会が開催された場合には、陸運局長の聴聞手続の瑕疵は、免許の許否に関する運輸大臣の処分の適法性に影響を与えない。 二、諮問の経由を必要とする行政処分が諮問を経てされた場合においても、当該諮問機関の審理、決定(答申)の過程に重大な法規違反があることなどによりその決定(答申)自体に法が右諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、右行政処分は、違法として取消を免れない。 三、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関する運輸審議会の公聴会における審理手続は、運輸審議会の客観性のある適正かつ公正な決定(答申)の保障のために公聴会審理を要求する法の趣旨に従い、申請者その他の利害関係人に対し決定(答申)の基礎となる諸事項に関する諸般の証拠その他の賃料と意見を十分に提出してこれを運輸審議会の決定(答申)に反映させることを実質的に可能ならしめるようなものでなければならない。 四、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し諮問を受けた運輸審議会の公聴会における審理手続に申請計画の問題点につき申請者に主張・立証の機会を十分に与えなかつたという瑕疵がある場合においても、仮に運輸審議会がこのような機会を与えたとしても申請者において運輸審議会の認定判断を左右するに足りる資料及び意見を提出しうる可能性があつたとは認め難い判示のような事情があるときは、右瑕疵は、右諮問を経てされた運輸大臣の免許の拒否処分を違法として取り消す事由とはならない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人Xは、草津町と高崎・伊勢崎・太田の諸都市とを結ぶ路線について、道路運送法4条に基づく一般乗合旅客自動車運送事業(バス事業)の免許を運輸大臣に申請した。

  • 運輸大臣の指示で東京陸運局長が聴聞を行った。
  • 運輸大臣の諮問を受けた運輸審議会は公聴会を開き、「長野原・渋川経由で既設交通機関を乗り継ぐ方が、運転時間・運賃等の面で便利であり、申請路線のバス運行は現状では緊要性に乏しく、道路運送法6条1項1号・5号に適合しない」として、却下を相当とする答申をした。
  • 運輸大臣は申請を却下した。

Xは、陸運局長の聴聞手続と運輸審議会の審理手続に違法があるとして、却下処分の取消しを求めた。原審は、6条1項1号不適合の判断は相当であり、審理手続にも違法はないとして請求を退けた。Xが上告した。

争点

  • 陸運局長の聴聞手続の瑕疵が運輸大臣の免許拒否処分の適法性に影響するか
  • 諮問機関の審理・答申過程の瑕疵が、諮問を経てされた行政処分の違法事由となるか
  • 運輸審議会の公聴会審理に要求される手続の水準
  • 公聴会審理の不備が、本件却下処分の取消事由となるか
  • 憲法31条の行政手続への適用・準用の要否
  • 免許の性質(公企業の特許か)と免許基準の拘束性・裁量

判旨

上告棄却(却下処分は適法)。

  • 陸運局長の聴聞:運輸審議会の公聴会が開催された場合、聴聞は補充的意義しかもたない。その瑕疵は運輸大臣の処分を取り消すべき事由とならない。
  • 諮問手続の一般論:法が諮問機関への諮問とその決定の尊重を定めている場合、次のときは処分も違法として取り消される。
  • 諮問を経ないで処分がされたとき
  • 諮問を経ても、審理・答申の過程に重大な法規違反があることなどにより、答申自体に諮問を要求した法の趣旨に反する瑕疵があるとき
  • 公聴会審理の水準:申請者その他の利害関係人が、答申の基礎となる諸事項について証拠・資料と意見を十分に提出し、答申に反映させることを実質的に可能にするものでなければならない。特に申請者については、問題点について注意を喚起し、反対意見への反駁の機会を与えるなどの配慮を要する。
  • 本件へのあてはめ:本件公聴会審理には、申請計画の問題点を具体的に示して主張立証させる措置がなかった不備がある。しかし、仮に機会を与えても、Xが審議会の認定判断を左右するに足る資料・意見を提出しえた可能性は認め難い。したがって重大な違法とはいえず、取消事由とならない。

判決文から

「処分行政庁が、諮問機関の決定(答申)を慎重に検討し、これに十分な考慮を払い、特段の合理的な理由のないかぎりこれに反する処分をしないように要求することにより、当該行政処分の客観的な適正妥当と公正を担保することを法が所期している」

諮問・答申尊重義務の趣旨

「その決定(答申)自体に法が右諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、これを経てなされた処分も違法として取消をまぬがれない」

答申過程の瑕疵が処分の違法となる規範

「決定の基礎となる諸事項に関する諸般の証拠その他の資料と意見を十分に提出してこれを審議会の決定(答申)に反映させることを実質的に可能ならしめるようなものでなければならない」

公聴会審理に求められる実質的水準

「公聴会審理においてより具体的に上告人の申請計画の問題点を指摘し、この点に関する意見及び資料の提出を促したとしても、上告人において、運輸審議会の認定判断を左右するに足る意見及び資料を追加提出しうる可能性があつたとは認め難い」

結果への影響可能性で取消事由を否定

「陸運局長の聴聞が右のような従たる意義しかもたない場合には、たとえその聴聞手続に瑕疵があつたとしても、最終的な運輸大臣の許否の決定自体を取り消さなければならないほどの違法があるものとするには足りない」

補充的手続の瑕疵は取消事由とならない

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。