最判昭和50年11月7日
遺産分割前に共同相続人の一人から特定不動産の持分を譲り受けた第三者は、遺産分割審判ではなく共有物分割訴訟で共有を解消する
出題:司法H24・司法H27・司法H28・予備H24・予備H28
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和47(オ)121 共有物分割請求
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第29巻10号1525頁
- 参照法条
- 民法258条1項,民法907条2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が共有関係解消のためにとるべき裁判手続
裁判要旨
共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である。
解説
事案
Dは、訴外Eから本件土地建物の持分2分の1の贈与を受けて共有権者になったと主張した。そのうえで、被上告人を相手に共有権確認および共有物分割の訴えを提起した。
原審は次のとおり認定した。
- 本件土地建物は亡Fまたは亡Gの遺産であり、被上告人とEが各2分の1の持分で相続した。
- 遺産分割の協議はまだ調っていない。
そのうえで原審は、持分の譲受人であっても、遺産分割前に遺産を構成する個々の財産について民法258条に基づく共有物分割訴訟を提起することは許されないとして、訴えを却下した。共有権確認の訴えについても、理由を示さずに却下した。
Dの訴訟承継人である上告人らが上告した。
争点
- 共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が、共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判(民法907条)か共有物分割訴訟(民法258条)か
- 遺産分割前の遺産共有の法的性質
- 持分譲受人が提起した共有権確認の訴えの適法性
判旨
原判決を破棄し、原審に差し戻した。
- 規範:共同相続人が分割前の遺産を共同所有する関係は、基本的に民法249条以下の共有の性質を有する。共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得する。第三者は他の共同相続人と民法249条以下の共有関係に立つ。
- 結論:第三者がこの共同所有関係の解消を求めるために裁判上とるべき手続は、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟である。
- 分割後の扱い:分割判決によって共同相続人側に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象となる。
- 共有権確認の訴え:持分譲受けを主張する者が、譲受けを争う相手方に対して提起する共有権確認の訴えは、当然に不適法となるものではない。
判決文から
「共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法二四九条以下に規定する共有としての性質を有すると解するのが相当であつて」
遺産共有=物権法上の共有という前提
「第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、民法九〇七条に基づく遺産分割審判ではなく、民法二五八条に基づく共有物分割訴訟であると解するのが相当である。」
結論部分。短答で直接問われる
「共同相続人の一人が特定不動産について有する共有持分権を第三者に譲渡した場合、当該譲渡部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきである」
譲渡持分は遺産分割の対象外となる
「右分割判決によつて共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象になるものと解すべきである」
相続人側の分与部分は遺産分割へ戻る
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