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国労広島地本事件

最判昭和50年11月28日

労働組合の臨時組合費について、組合員の納付義務(協力義務)の範囲を資金の目的ごとに比較考量で画した判例

憲法違法性阻却(正当防衛・緊急避難)国家賠償法2条社会権(生存権・教育・労働)本試験で 13 問(短答 13・論文 0)

出題:司法H22・司法H26・司法H28・司法R1・司法R5・予備H24・予備H25・予備H28・予備H30・予備R3・予備R6・予備R8

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和48(オ)499 組合費請求
裁判
判決・その他
判例集
民集 第29巻10号1698頁
参照法条
労働組合法2条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として収する臨時組合費と組合員の納付義務 二、労働組合がいわゆる安保反対闘争の実施費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務 三、労働組合がいわゆる安保反対闘争により不利益処分を受けた組合員の救援費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務 四、労働組合が特定の公職選挙立候補者の選挙運動の支援資金として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務

裁判要旨

一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として徴収する臨時組合費については、右支援が法律上許されない等特別の場合でないかぎり、組合員はこれを納付する義務を負う。 二、労働組合がいわゆる安保反対闘争実施の費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない。 三、労働組合がその実施したいわゆる安保反対闘争により民事上又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負う。 四、公職選挙に際し、労働組合が特定の立候補者の選挙運動支援のためその所属政党に寄付する資金として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告組合(労働組合)は、組合員から次の臨時組合費を徴収することを決定した。

  • D資金350円・春闘資金中30円:他組合(D労組)の炭鉱を中心とする企業整備反対闘争を支援する資金
  • 安保資金50円:昭和35年の安保反対闘争で民事上・刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する資金(いったん上部団体に上納し、改めて救援資金として配分される仕組み)
  • 政治意識昂揚資金20円:昭和35年11月の総選挙で、組合出身の立候補者の選挙運動を応援するため、その所属政党に寄付する資金

組合は、元組合員である被上告人らにこれらの支払を請求した。原審は、臨時組合費を徴収できるのは、労働条件の維持改善その他経済的地位の向上という目的のために現実に必要な活動に限られるとした。そのうえで、D資金と安保資金は目的の範囲外、政治意識昂揚資金は政治的信条の自由を侵害するとして、すべての徴収決議を無効と判断した。

争点

  • 労働組合の組合員の協力義務(組合費納付義務を含む)の範囲とその判断基準
  • 他組合の闘争支援資金について組合員に納付義務があるか
  • 安保反対闘争のような政治的活動の費用、およびその活動で処分を受けた組合員の救援費用について納付義務があるか
  • 特定の公職選挙立候補者を支援するための政党への寄付資金について納付義務があるか

判旨

規範

  • 組合員は、組合に留まる限り、組合活動への参加・妨害行為の避止・組合費納付の義務(協力義務)を負う。ただしこれは無制限ではない。
  • 組合の活動は政治的・社会的・文化的活動にも広く及び、それ自体が直ちに目的の範囲外となるわけではない。しかし、目的の範囲内の活動であることから、当然に協力を強制できるわけではない。
  • 具体的な組合活動の内容・性質と、組合員に求められる協力の内容・程度・態様等を比較考量する。そして、多数決原理に基づく組合活動の実効性と組合員個人の基本的利益の調和という観点から、協力義務の範囲に合理的な限定を加える。

あてはめ(結論)

  • 他組合の闘争支援資金:法律上許されない等の特別の場合でない限り、納付義務あり。
  • 安保反対闘争の実施費用:納付義務なし。
  • 同闘争で処分を受けた組合員の救援費用:納付義務あり。
  • 特定候補者支援のための政党への寄付資金:納付義務なし。

よって、D資金・安保資金の部分は原判決を破棄して請求を認容し、政治意識昂揚資金の部分は上告を棄却した。

判決文から

「具体的な組合活動の内容・性質、これについて組合員に求められる協力の内容・程度・態様等を比較考量し、多数決原理に基づく組合活動の実効性と組合員個人の基本的利益の調和という観点から」

協力義務の範囲を画する判断枠組み

「組合の統制力とその反面としての組合員の協力義務の範囲に合理的な限定を加えることが必要である。」

協力義務の合理的限定という結論部分

「一定の政治的活動の費用としてその支出目的との個別的関連性が明白に特定されている資金についてその拠出を強制することは、かかる活動に対する積極的協力の強制にほかならず」

金銭負担にとどまっても強制は不可とする理由

「処分の原因たる行為のいかんにかかわるものではなく、もとよりその行為を支持、助長することを直接目的とするものではないから」

救援資金の協力義務を肯定する根拠

「選挙においてどの政党又はどの候補者を支持するかは、投票の自由と表裏をなすものとして、組合員各人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断ないしは感情等に基づいて自主的に決定すべき事柄である。」

選挙支援資金の納付義務を否定する核心

「労働組合が組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し、その選挙運動を推進すること自体は自由であるが」

組合の活動自体は許され、強制のみ否定

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。