最判昭和49年6月28日
双方過失による同一交通事故で生じた物損の損害賠償債権同士でも、旧民法509条により相殺は許されないとした判例
出題:司法H30・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和47(オ)36 損害賠償請求
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第28巻5号666頁
- 参照法条
- 民法509条,民法709条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間における相殺の許否
裁判要旨
双方の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、相殺は許されない。
解説
事案
昭和43年9月29日夜、長岡市内の交差点で、被上告会社の被用者Bが業務として陸送中のマイクロバス(乙車)と、A2が運転するA1所有の普通乗用車(甲車)が衝突し、両車とも破損した。事故の主因はBの過失だが、A2の過失も一因であった。
- A1の損害は代車購入費・使用不能による喪失利益の合計34万1000円である。A2の過失を被害者側の過失として斟酌すると、A1は27万2800円の損害賠償請求権を有する。
- 被上告会社の損害は乙車の修理代29万0520円である。A2はA1の被用者として、A1の事業の一環で甲車を運転していたため、A1は使用者として賠償義務を負う。Bの過失を斟酌すると、被上告会社は5万8104円の損害賠償債権を有する。
原審は、双方の過失による1個の衝突事故から生じた物損の損害賠償債権同士には民法509条の適用がないとした。そのうえで被上告会社の相殺の抗弁を認め、A1の債権は5万8104円の限度で消滅したと判断した。
争点
- 双方の過失に基因する同一交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間で、相殺は許されるか(旧民法509条の適用の有無)
判旨
相殺は許されない(原判決の相殺を認めた部分を破棄し、A1の請求を27万2800円とこれに対する遅延損害金の限度で認容)。
規範:旧民法509条の趣旨は、不法行為の被害者に現実の弁済によって損害の填補を受けさせること等にある。したがって、不法行為による損害賠償債務を負う者は、被害者に対して不法行為による損害賠償債権を有している場合であっても、その債権を自働債権とする相殺によって対当額の債務を免れることはできない。
この理は、双方の被用者の過失に基因する同一交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間にも及ぶ。
判決文から
「民法五〇九条の趣旨は、不法行為の被害者に現実の弁済によつて損害の填補を受けさせること等にあるから」
509条の趣旨=現実弁済による損害填補を示した部分
「およそ不法行為による損害賠償債務を負担している者は、被害者に対する不法行為による損害賠償債権を有している場合であつても、被害者に対しその債権をもつて対当額につき相殺により右債務を免れることは許されないものと解するのが、相当である」
自働債権も不法行為債権の場合も相殺不可とする規範
「本件のように双方の被用者の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、民法五〇九条の規定により相殺が許されないというべきである。」
同一事故・物損同士にも及ぶとした結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
