最判昭和48年9月18日
土地・建物の所有者が建物の移転登記を経ないまま土地に抵当権を設定しても、法定地上権は成立する。
出題:司法H30・司法R4・司法R8・予備H30
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和45(オ)989 建物収去土地明渡等請求および建物退去土地明渡等反訴請求
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第27巻8号1066頁
- 参照法条
- 民法177条,民法388条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
土地およびその地上建物の所有者が建物の所有権移転登記を経由しないまま土地につき抵当権を設定した場合と法定地上権の成否
裁判要旨
土地およびその地上建物の所有者が建物の取得原因である譲受につき所有権移転登記を経由しないまま土地に対し抵当権を設定した場合であつても、法定地上権の成立を妨げない。
解説
事案
上告人A1は、昭和26年、前所有者である訴外協会から本件建物を買い受けた。しかし所有権移転登記はしておらず、登記名義は協会のままだった。A1は本件建物の敷地である本件土地も所有していた。
昭和29年、被上告人Xは、訴外Dに対する貸金債権を担保するため、A1所有の本件土地に抵当権の設定を受け、登記した。弁済がなかったため、Xは抵当権を実行し、自ら競落して昭和30年に所有権移転登記をした。
A1は、Xに対し、法定地上権設定登記手続と相当地代の確定を求めた。また、Xは、本件建物に居住して土地を占有するA2に対し、土地所有権に基づいて建物退去土地明渡しを求めた。
原審は、A1は抵当権設定当時に建物を所有していても取得登記を経ていない以上、法定地上権を取得できないと判断した。そのうえで、A1の請求を排斥し、Xの請求を認容した。最高裁は原判決を破棄し、差し戻した。
争点
- 土地・建物の所有者が建物の取得登記を経由しないまま土地に抵当権を設定した場合に、民法388条の法定地上権が成立するか
- 法定地上権の取得に、建物所有権について対抗力(民法177条)が必要か
判旨
結論:法定地上権は成立する。原判決を破棄し、差し戻した。
規範:土地と地上建物が同一所有者に属し、土地のみに抵当権が設定されて実行された場合を考える。このとき、次のような事情があっても、土地競落人はこれを理由に法定地上権の成立を否定できない。
- 建物所有権の取得原因が譲渡である
- 建物に前主その他の者の所有名義の登記が残ったままである
- 土地抵当権設定当時、建物の所有権移転登記が経由されていない
法定地上権制度は存立している建物を保護するところに意義があるから、建物所有者は、法定地上権を取得するにあたり、対抗力ある所有権を有している必要はない。
答案では「民法388条の同一所有者要件は、抵当権設定時の実体上の所有関係で判断し、登記の有無・名義を問わない」と書けば足りる。
判決文から
「建物につき前主その他の者の所有名義の登記がされているままで、土地抵当権設定当時建物についての所有権移転登記が経由されていなくとも、土地競落人は、これを理由として法定地上権の成立を否定することはできない」
本判決の結論部分
「土地につき抵当権を取得しようとする者は、現実に土地をみて地上建物の存在を了知しこれを前提として評価するのが通例であり、競落人は抵当権者と同視すべきものである」
抵当権者・競落人に不測の損害がない理由
「このように、法定地上権制度は、要するに存立している建物を保護するところにその意義を有するのであるから、建物所有者は、法定地上権を取得するに当たり、対抗力ある所有権を有している必要はないというべきである。」
制度趣旨から対抗力不要を導く核心
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
