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譲渡所得課税事件

最判昭和48年4月26日

課税処分は、課税要件の根幹に関わる過誤があり、不可争的効果で不利益を負わせるのが著しく不当な例外的事情があれば当然無効となるとした判例

行政法行政行為(効力・瑕疵)その他の抗告訴訟(義務付け・差止め)取消訴訟の審理・判決本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:予備R2・予備R6・予備R8

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和42(行ツ)57 所得税賦課処分無効確認等請求
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第27巻3号629頁
参照法条
行政事件訴訟法3条4項,旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条1項8号

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一、課税処分が当然無効と解される場合 二、課税処分が特段の事情のないかぎり当然無効と解すべきであるとされた事例

裁判要旨

一、課税処分に課税要件の根幹に関する内容上の過誤が存し、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合には、当該処分は、当然無効と解するのが相当である。 二、甲が、その所有土地につき、ほしいままに、乙に対する所有権移転登記を経由したうえ、同人名義で丙に売却した等判示のような事情のある場合においては、乙が事後において明示または黙示的にこれを容認した等の特段の事情のないかぎり、乙に譲渡所得があるとしてなされた課税処分は、当然無効と解すべきである。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人A1・A2は夫婦である。Dは、A2の姉の内縁の夫である。Dは、自己所有(登記簿上は第三者名義)の土地について、上告人らに無断でA1名義の仮登記をした。また、自己所有の建物についても、無断でA2名義の移転登記をした。その後Dは、自己の債務を返済するため、上告人ら名義の印章を無断で購入して印鑑届をし、売買契約書・登記申請書・委任状等を偽造した。そのうえでA1名義の本登記と、建物のA2からA1への移転登記を経由し、各土地を第三者F・Gに売却した。

税務署長は、主として登記簿の記載に依拠し、買受人への反面調査も加えたうえで、上告人らに譲渡所得が生じたとして所得税・加算税の賦課決定をした。上告人らは、適法な異議申立期間内に異議申立てをしなかった。

そこで上告人らは、処分の無効確認等を求めて出訴した。原審は、課税要件のないところに課税したもので瑕疵は重大であるが明白とはいえないとして、無効を否定した。

争点

  • 課税処分が当然無効となるのはどのような場合か(瑕疵の明白性を要するか)
  • 名義を冒用された者に譲渡所得ありとしてされた課税処分が当然無効といえるか

判旨

原判決を破棄し、東京高裁に差し戻した。

規範:課税処分は課税庁と被課税者との間にのみ存し、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要がない。このことなどを勘案し、次の場合には、その瑕疵は処分を当然無効とする。

  • 処分の内容上の過誤が課税要件の根幹に関するものであり、
  • 徴税行政の安定と円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果を理由に被課税者に不利益を甘受させることが著しく不当と認められる例外的な事情がある。

あてはめ:本件は、譲渡所得が全くないところに課税した点で、課税要件の根幹についての重大な過誤がある。上告人らは名義を冒用されただけで、帰責性がない。したがって、上告人らが事後に登記を明示または黙示に容認していた、あるいは表見的権利関係に基づき特別の利益を享受していたなどの特段の事情がないかぎり、本件処分は当然無効である。

ただし、上告人らとDの間には担保される債権関係があり、事後的な容認の可能性もある。そのため、この特段の事情の有無について審理を尽くさせるべく差し戻した。

判決文から

「一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば」

第三者保護不要という課税処分の特質が規範の根拠

「不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である。」

無効の判断基準。明白性に言及していない

「本件課税処分は、譲渡所得の全くないところにこれがあるものとしてなされた点において、課税要件の根幹についての重大な過誤をおかした瑕疵を帯有するものといわなければならない。」

「課税要件の根幹」の過誤の具体例

「たとえば、上告人らが上記のような各登記の経由過程について完全に無関係とはいえず、事後において明示または黙示的にこれを容認していたとか、または右の表見的権利関係に基づいてなんらかの特別の利益を享受していた等の、特段の事情がないかぎり」

被課税者の帰責性が無効判断の考慮要素となる

「本件課税処分は課税要件のないところに課税したもので、その瑕疵は重大であるが、なお明白であるとはいいえないとして、これを無効でないと即断したのは」

明白性欠如を理由とする原審の判断を誤りとした

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。