最判昭和48年4月24日
債権者代位訴訟に債務者が独立当事者参加し、同一訴訟物の訴えを提起しても重複起訴に当たらないとした判例
出題:司法H23・司法R2・予備H23
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和47(オ)908 建物明渡等請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第27巻3号596頁
- 参照法条
- 民訴法45条,民訴法71条,民訴法201条2項,民訴法231条,民法423条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一、債権者代位訴訟に債権者が当事参加して第三債務者に対し提起した同一の重複訴訟 二、債権者代位訴訟に債務者が当事者参加して第三債務者に対し提起した同一の訴についての債務者の訴訟追行権
裁判要旨
一、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起することは、重複起訴の禁止にはふれない。 二、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起した場合において、甲に代位原因がないときは、乙は丙に対する訴につき訴訟追行権を失わない。
解説
事案
Xは、Z所有の本件土地を含む土地をZから賃借していると主張した。Xは、賃貸人Zに代位し、Zの所有権に基づいて、本件土地上に建物部分を所有して土地を占有するYに対し、建物収去土地明渡しを求めて訴えを提起した(本訴)。
これに対しZは、XがYに本件土地を無断転貸したことを理由に賃貸借契約を解除したと主張した。そのうえで、旧民訴法71条(現47条)により本訴に参加し、次の二つの請求を立てた。
- Xに対し、Xが本件土地の賃借権を有しないことの確認
- Yに対し、所有権に基づく建物収去土地明渡し
原審は、Zの訴えを適法とした。Yは、ZのYに対する訴えはXの代位訴訟と訴訟物が同一で重複起訴として不適法であること、またZの請求は権利濫用であることを理由に上告した。
争点
- 債権者代位訴訟の係属中に、債務者が独立当事者参加して、第三債務者に対し代位訴訟と訴訟物を同じくする訴えを提起することは、重複起訴の禁止(旧民訴法231条、現142条)に触れるか
- その場合、債務者は第三債務者に対する訴えについて訴訟追行権(当事者適格)を有するか
判旨
上告棄却。
- 重複起訴について:債務者が旧民訴法71条(現47条)により代位訴訟に参加し、第三債務者に対し代位訴訟と訴訟物を同じくする訴えを提起することは、重複起訴禁止(旧231条、現142条)に触れない。代位訴訟が係属しているというだけで、直ちに不適法として排斥されることはない。
- 当事者適格について:債権者が適法に代位権の行使に着手し、債務者に通知したか債務者がこれを了知したときは、債務者は代位の目的となった権利について、代位権行使を妨げる処分をする権能を失う。処分行為と目される訴えの提起もできない。この理は参加による訴え提起でも同じである。
- したがって、債権者が訴訟追行権を有すると判明すれば、債務者の訴えは当事者適格を欠き不適法となる。債権者が訴訟追行権を有しないと判明すれば、債務者の訴えは適法である。
- 本件では、Xの代位原因である賃借権が無断転貸を理由とする解除で消滅していた。そのためXの代位訴訟は却下を免れず、Zの訴えは適法である。
判決文から
「債務者が民訴法七一条により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法二三一条の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。」
判旨一の結論部分
「債務者の提起した訴と右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないからである。」
重複起訴禁止の三つの趣旨から理由づけている
「債権者が右訴訟追行権を有しないことが判明したときは、債務者はその訴訟追行権を失つていないものとして、その訴は適法ということができる。」
判旨二。代位原因がなければ債務者の訴えは適法
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