最判昭和48年3月27日
無記名定期預金の預金者は出捐者とし、銀行が表見預金者に預金担保貸付をして後に相殺した場合に478条を類推適用した判例
出題:司法H26・予備H26
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和41(オ)815 預金返還請求
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第27巻2号376頁
- 参照法条
- 民法478条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
銀行が無記名定期預金の預金者と認定した者に対して貸付をした場合における貸付債権をもつてする相殺と民法四七八条の類推適用
裁判要旨
銀行が、無記名定期預金につき真実の預金者と異なる者を預金者と認定し、この者に対し、右預金と相殺する予定のもとに貸付をし、その後右の相殺をするときには、民法四七八条の類推適用がある。
解説
事案
上告人Xは、1000万円の銀行小切手を出捐し、妻Dを通じて被上告銀行板橋支店に無記名定期預金をした。その際、Eが自分の事務員としてDを支店に行かせた。Dは担当者Gに「Eさんの使いの方ですね」と確認されて「はい」と答え、「E之印」の印鑑を押して手続をした。同日夕刻、Eは預金証書と印鑑を持って支店を訪れ、挨拶をしている。
背景には次の事情がある。XはH相談所への融資を頼まれ、支店長Jから「Eの定期預金として預け入れるならHの手形割引が可能」と説明を受けていた。そして、DがEの事務員として支店に行くことを承諾していた。
その後、この預金は預け替えられ、K工業名義の記名式定期預金などになった。銀行は、これらの預金を担保とし、または相殺を予定して、EやK工業と手形割引等の取引をした。
Xが預金の返還を請求したところ、原審は、K工業名義の記名式定期預金の預金者はK工業、その他の無記名定期預金の預金者はEであり、Xは預金者ではないとして、主位的請求・予備的請求をいずれも退けた。Xが上告した。
争点
- 無記名定期預金の預金者は誰か(出捐者か、預入行為者・名義上の者か)
- 銀行が真実の預金者と異なる者を預金者と認定して預金担保貸付をし、その貸金債権で預金債務と相殺した場合、その相殺を真実の預金者に対抗できるか(民法478条の類推適用)
判旨
結論:原判決を破棄し、東京高裁に差し戻した。
規範1(預金者の認定)
- 無記名定期預金の預金者は、原則として出捐者である。
- 出捐者が自ら預け入れた場合だけでなく、他人に金銭を渡して預け入れを依頼した場合も同じである。
- 例外は、預入行為者がその金銭を横領して自己の預金とする意図で預け入れたなどの特段の事情がある場合に限られる。
規範2(相殺と478条の類推適用)
- 銀行が預金を担保に取り、または預金債権を受働債権として相殺する予定で、新たに貸付をし、その貸金債権を自働債権として相殺した場合、これは実質的に期限前払戻と同視できる。
- したがって、銀行が預金者と定めた者(表見預金者)が真実の預金者と異なっていても、銀行として尽くすべき相当な注意を用いた以上、民法478条の類推適用または預金契約上の免責規定によって、その相殺を真実の預金者に対抗できる。
判決文から
「預入行為者が右金銭を横領し自己の預金とする意図で無記名定期預金をしたなどの特段の事情の認められないかぎり、出捐者をもつて無記名定期預金の預金者と解すべきである」
出捐者を預金者とする規範とその例外
「実質的には、無記名定期預金の期限前払戻と同視することができる」
相殺を弁済と同視して478条類推を導く鍵
「銀行として尽くすべき相当な注意を用いた以上、民法四七八条の類推適用、あるいは、無記名定期預金契約上存する免責規定によつて」
銀行保護の要件は相当な注意(無過失)
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
