SaySayLaw

最判昭和47年7月25日

無断でされた婚姻届も、届出当時に夫婦の実質的生活関係があり、他方が後に追認すれば、届出の当初に遡って有効となる

民法親族(婚姻・親子)無効・取消し・条件期限本試験で 5 問(短答 5・論文 0)

出題:司法H25・司法H30・司法R3・司法R6・予備R6

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和45(オ)238 婚姻無効確認請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第26巻6号1263頁
参照法条
民法742条1号,民法116条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

届出意思の欠缺による婚姻の無効とその追認の効力

裁判要旨

事実上の夫婦の一方が他方の意思に基づかないで婚姻届を作成提出した場合において、当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、かつ、のちに他方の配偶者が届出の事実を知つてこれを追認したときは、右婚姻は追認によりその届出の当初に遡つて有効となると解すべきである。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

事実上の夫婦の妻(被上告人)が、夫(上告人)の意思に基づかずに夫の署名欄に氏名を記載・押印して婚姻届書を作成し、昭和27年11月17日に提出した。届出当時、両名には夫婦としての実質的生活関係があった。

夫は昭和29年3月頃に届出を知ったが、効力を争わず、昭和35年9月頃に別居するまで生活関係を続けた。その間、次のように届出を容認するような態度を示していた。

  • 特別区民税の申告書に妻を妻と記載して提出した。
  • 長女の結婚披露宴に妻とともに出席した。
  • 共済組合が妻を妻として認定したことに異議を唱えず、その旨が記載された組合員証を妻に医療のため使用させた。

夫は昭和39年7月になって突如、家庭裁判所に婚姻無効の調停を申し立て、婚姻無効確認を請求した。原審は、婚姻は届出意思を欠き無効であるとしつつ、夫は遅くとも調停申立時までに黙示に追認したとして、婚姻は届出の当初に遡って有効になったと判断した。夫が上告した。

争点

  • 届出意思を欠く無効な婚姻(民法742条1号)を追認することができるか
  • 追認によって婚姻は届出の当初に遡って有効となるか(民法116条の類推か、119条の適用か)
  • 無効な身分行為の追認に方式が必要か、黙示の追認でもよいか

判旨

上告棄却(婚姻は有効)。

規範:事実上の夫婦の一方が他方の意思に基づかずに婚姻届を作成・提出した場合でも、次の2要件を満たせば、婚姻は追認によりその届出の当初に遡って有効となる。

  • 届出当時、両名に夫婦としての実質的生活関係が存在していたこと
  • 後に他方配偶者が届出の事実を知ってこれを追認したこと

民法には無効な婚姻の追認を定める規定はないが、追認を否定する規定もない。無効行為の追認は民法119条によってのみ認められるものではなく、本件の追認には民法116条本文の趣旨を類推できる。

無効な身分行為の追認には一定の要式を要せず、黙示のものでもよい。本件では、届出を知った後の夫の態度から黙示の追認が認められる。

判決文から

「当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、後に右他方の配偶者が右届出の事実を知つてこれを追認したときは、右婚姻は追認によりその届出の当初に遡つて有効となると解するのを相当とする。」

要件(実質的生活関係+追認)と遡及効の規範

「右追認により婚姻届出の意思の欠缺は補完され、また、追認に右の効力を認めることは当事者の意思にそい、実質的生活関係を重視する身分関係の本質に適合する」

遡及効を認める実質的理由(意思の補完・身分関係の本質)

「第三者は、右生活関係の存在と戸籍の記載に照らし、婚姻の有効を前提として行動するのが通常であるので、追認に右の効力を認めることによつて、その利益を害されるおそれが乏しいからである。」

遡及させても第三者を害しないという理由

「無効行為の追認は民法一一九条の規定によつてのみ認められるとも解することはできない。」

119条(遡及なし)ではなく116条類推の道を開いた点

「無効な身分行為の追認について、一定の要式を必要とせず、また、黙示のものであつてもよい」

追認の方式不要・黙示の追認可

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。