SaySayLaw

最判昭和47年12月5日

青色申告更正処分の理由附記の不備は違法であり、後の審査裁決で理由が明らかにされても瑕疵は治癒されないとした判例

行政法行政手続法情報公開・個人情報行政行為(効力・瑕疵)本試験で 5 問(短答 5・論文 0)

出題:司法H23・司法H26・予備H27・予備R8

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和43(行ツ)61 法人税課税処分取消請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第26巻10号1795頁
参照法条
旧法人税法(昭和22年法律第28号)32条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一、法人税青色申告についてした更正処分が理由附記の不備のため違法とされた事例 二、青色申告についてした更正処分の理由附記の不備と審査裁決による缺疵の治癒

裁判要旨

一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として不備であつて、その更正処分は違法である。 二、青色申告についてした更正処分における理由附記の不備の缺疵は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合であつても、治癒されないと解すべきである。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

青色申告法人である被上告会社に対し、旧法人税法(昭和40年改正前)に基づく法人税の更正処分がされた。更正通知書の理由欄には、係争事業年度所得の加算項目として「(1)営業譲渡補償金計上もれ1155万円」「(2)認定利息(代表者)計上もれ1万9839円」、清算所得の加算項目として「(3)残余財産価格の違算分4000円」「(4)代表者仮払金39万6890円」「(5)営業譲渡補償金905万円」と記載されていただけであった。

処分庁側は、これらの記載は次の内容を端的に要約したものだと主張した。

  • (1)(5):訴外D証券への営業譲渡の対価として計上した250万円のほか、代表者Bが同社から受領した借入金・嘱託料・手数料計905万円も営業譲渡の対価であり、対価総額は1155万円であること
  • (2)(4):Bに対する仮払金・立替金の認定利息、Bからの受入未済金の額

被上告会社は処分の取消しを求めて出訴した。第一審・原審(福岡高裁)は理由附記の不備を理由に処分を違法とし、処分庁側が上告した。処分庁側は、仮に不備があっても審査裁決に理由が附記されたことで瑕疵は治癒されたとも主張した。

争点

  • 青色申告に対する更正処分の通知書の理由附記として、本件の程度の記載で足りるか(旧法人税法32条)
  • 更正処分の理由附記不備の瑕疵が、後の審査裁決で処分理由が明らかにされたことにより治癒されるか

判旨

上告棄却(処分は違法)。

  • 理由附記の程度:(3)を除く各加算項目の記載からは、更正にかかる金額がいかにして算出されたのか、それがなぜ課税所得とされるのか等の具体的根拠を知ることができない。理由附記の趣旨(処分庁の判断の慎重・合理性を担保して恣意を抑制し、相手方に処分理由を知らせて不服申立ての便宜を与えること)に照らせば、本件更正の附記理由には不備の違法がある。
  • 瑕疵の治癒:更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されない。

規範:理由附記は、処分の具体的根拠(金額の算出過程と課税所得とされる理由)を相手方が知りうる程度に記載しなければならず、その不備は処分の違法事由となる。この不備は、処分庁と異なる機関の後の行為(審査裁決)による理由の提示では治癒されない。

判決文から

「処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立の便宜を与えることを目的として更正に附記理由の記載を命じた前記法人税法の規定の趣旨にかんがみ」

理由附記の二つの趣旨(恣意抑制・不服申立便宜)

「更正にかかる金額がいかにして算出されたのか、それがなにゆえに被上告会社の課税所得とされるのか等の具体的根拠を知るに由ないものといわざるをえない。」

附記理由に求められる具体性の基準

「処分庁と異なる機関の行為により附記理由不備の瑕疵が治癒されるとすることは、処分そのものの慎重、合理性を確保する目的にそわないばかりでなく」

治癒否定の第一の理由(処分時の慎重確保)

「更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」

治癒否定の結論部分。短答の頻出フレーズ

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。