最大判昭和47年11月8日
会社が株券発行を不当に遅滞した場合、株券発行前でも意思表示のみによる株式譲渡は会社に対して有効となるとした大法廷判決
出題:司法H24・予備H24・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和39(オ)883 株主総会決議無効確認等請求
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第26巻9号1489頁
- 参照法条
- 商法204条,商法205条1項,商法226条1項,商法247条,商法260条ノ2,民訴法225条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
株式会社が株券の発行を遅滞している場合における意思表示のみによる株式譲渡の効力
裁判要旨
株式会社が株券の発行を不当に遅滞し、信義則に照らして、株式譲渡の効力を否定するのを相当としない状況に至つたときは、株券発行前であつても、株主は、意思表示のみにより、会社に対する関係においても有効に株式を譲渡することができる。
解説
事案
被上告会社Yは有限会社として設立され、昭和24年に株式会社へ組織変更した(発行済株式総数2万株)。しかし組織変更後も株券を全く発行していなかった。
- 昭和28年5月、16,000株を有する株主B1が、100株の株主X(上告人)に対し、16,000株を意思表示のみで譲渡した。
- Yはこの譲渡を承認して株主台帳に記載し、同年6月にXを原始株主と表示する株券をXに交付した。
- 昭和31年、B1らは裁判所の招集許可を得て株主総会を開いた。総会では、B1が16,000株を有するものとして議決権を計算し、旧役員の解任と新役員の選任を決議した。続く取締役会でB1が代表取締役に選任された。
- Xは、総会決議の取消し(予備的請求)、取締役会決議の無効確認、B1が株主でないことの確認などを求めた。
- 原審は、株券発行前の譲渡は会社に対して効力を生じないとして、これらの請求を棄却した。
争点
- 株券発行前にした株式譲渡は会社に対して効力を生じないとする規定(当時の商法204条2項、現会社法128条2項)は、会社が株券発行を不当に遅滞している場合にも適用されるか
- 不当遅滞後に意思表示のみでされた株式譲渡を、会社は株券発行前であることを理由に否定できるか
判旨
原判決を一部破棄し、総会決議を取り消した。あわせて、取締役会決議の無効とB1の非株主性を確認した。
規範
- 株券発行前の譲渡の効力を否定する規定(商法204条2項)は、会社が株券を遅滞なく発行することを前提とする。その趣旨は、株券発行を円滑・正確に行わせるため、会社との関係で発行前の譲渡の効力を否定する点にある。
- 法律関係の安定のため、安易にこの規定の適用を否定すべきではない。
- しかし、少なくとも会社が株券の発行を不当に遅滞し、信義則に照らしても株式譲渡の効力を否定するのを相当としない状況に至った場合は、次のようになる。
- 株主は意思表示のみで有効に株式を譲渡できる。
- 会社は株券発行前であることを理由にその効力を否定できず、譲受人を株主として遇しなければならない。
この限度で、最判昭和33年10月24日の見解を変更した。
判決文から
「株式会社が株券を遅滞なく発行することを前提とし、その発行が円滑かつ正確に行なわれるようにするために、会社に対する関係において株券発行前における株式譲渡の効力を否定する趣旨と解すべきであつて」
規定の趣旨を「遅滞なき発行」が前提と捉えた点
「安易に右規定の適用を否定することは、株主の地位に関する法律関係を不明確かつ不安定ならしめるおそれがあるから、これを慎しむべきであるが」
例外は限定的に認めるという歯止め
「会社が右規定の趣旨に反して株券の発行を不当に遅滞し、信義則に照らしても株式譲渡の効力を否定するを相当としない状況に立ちいたつた場合においては、株主は、意思表示のみによつて有効に株式を譲渡でき」
答案に書く規範そのもの
「会社は、もはや、株券発行前であることを理由としてその効力を否定することができず、譲受人を株主として遇しなければならないものと解するのが相当である。」
会社が負う効果(譲受人を株主として扱う義務)
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
