最判昭和47年11月16日
独禁法45条1項の報告・措置要求を不問に付する公取委の決定は処分に当たらず、申請権もないとした判例
出題:司法H29・予備R4・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和43(行ツ)3 不作為の違法確認等請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第26巻9号1573頁
- 参照法条
- 行政事件訴訟法3条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律45条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定と抗告訴訟
裁判要旨
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
解説
事案
上告人は、自らを独占禁止法違反行為の被害者であるとして、公正取引委員会(被上告人)に対し、同法45条1項に基づく報告をし、適当な措置をとるよう求めた。公正取引委員会はこれを不問に付する決定をした。上告人は異議申立てをしたうえで、訴えを提起した。訴えの内容は、不問に付する決定について不存在の確認を求めるものと、異議申立てに対する不作為の違法確認を求めるもの(事件名は「不作為の違法確認等請求」)である。
原審(東京高裁)は、公正取引委員会には応答義務も適当な措置をとる義務もないとして、いずれの訴えも不適法とした。上告人は、法令解釈の誤り、判断遺脱、理由齟齬があるほか、告訴権の行使を妨げられたこと、違憲であることを主張して上告した。
争点
- 独禁法45条1項に基づく措置要求を不問に付する公取委の決定は、抗告訴訟(取消訴訟)の対象となる行政処分に当たるか
- 独禁法45条1項に基づく報告・措置要求は「法令に基づく申請」に当たり、不作為の違法確認の訴えの対象となるか
- 独禁法25条の「被害者」であることにより、審決を求める特段の権利・利益が保障されるか
判旨
上告棄却(訴え不適法との原審判断を維持)。
- 規範:独禁法45条1項は、公取委が審査手続を職権で開始するきっかけ(端緒)を与えるための規定にとどまる。報告者に、公取委へ適当な措置を要求する具体的請求権を与えたものではない。
- そのため、公取委は報告・措置要求に応答義務を負わない。これを不問に付しても、被害者の具体的権利・利益を侵害するものではない。
- 結論1:不問に付する決定は、取消訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
- 結論2:同項の報告・措置要求は「法令に基づく申請権の行使」とはいえない。したがって、異議申立てに対する不作為の違法確認の訴えも不適法である。
- 独禁法25条の被害者に当たっても、審決を求める特段の権利・利益は保障されない。
判決文から
「同法四五条一項は、被上告人公正取引委員会の審査手続開始の職権発動を促す端緒に関する規定であるにとどまり、報告者に対して、公正取引委員会に適当な措置をとることを要求する具体的請求権を付与したものであるとは解されない。」
45条1項を職権発動の端緒と性格づけた中核部分
「独占禁止法の定める審判制度は、もともと公益保護の立場から同法違反の状態を是正することを主眼とするものであつて、違反行為による被害者の個人的利益の救済をはかることを目的とするものではなく」
制度目的を公益保護とし個人救済を否定した点
「被上告人は、独占禁止法四五条一項に基づく報告、措置要求に対して応答義務を負うものではなく、また、これを不問に付したからといつて、被害者の具体的権利・利益を侵害するものとはいえないのである。」
応答義務と権利侵害の否定が処分性否定の直接の根拠
「独占禁止法四五条一項に基づく報告、措置要求は法令に基づく申請権の行使であるとはいいえないのであるから」
不作為の違法確認の訴えを不適法とした根拠
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