最判昭和46年4月20日
親権者が民法826条に違反して子を代理した利益相反行為は無効ではなく無権代理行為(民法113条)であり、追認によって遡って有効となる
出題:司法H24・司法H30
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和45(オ)1150 建物収去土地明渡請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第102号519頁
- 参照法条
- 民法115条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為の効力
裁判要旨
親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為は民法一三二条所定の無権代理行為にあたる。
解説
事案
建物収去土地明渡請求事件である。上告人A2が本件土地について売買予約を結んだ。この行為は、A2の代理権を欠く無権代理行為にあたる。本件土地の共有者である上告人A1と訴外D・E・Fの4名は、先行訴訟(名古屋地裁昭和38年(ワ)第542号、その控訴審・上告審)が係属している間に、被上告人またはその訴訟代理人に対し、A2の無権代理行為を追認した。
原審(名古屋高裁)は次のように認定・判断した。
- 追認により、売買予約のうち右4名の共有持分に関する部分は、成立の時に遡って効力を生じた。
- 親権者が民法826条に違反し、子との利益相反行為について法定代理人としてした行為は、民法113条所定の無権代理行為にあたる。
上告人らがこの判断を争って上告した。
争点
- 親権者が民法826条に違反して(特別代理人によらずに)利益相反行為を子の法定代理人としてした場合、その行為の効力はどうなるか(無効か、無権代理か)
- 無権代理行為を追認した場合の効力(遡及効)
判旨
上告棄却。最高裁は原審の認定判断を「首肯できる」として是認した。
規範:親権者が民法826条に違反し、親権者と子の利益相反行為について法定代理人としてした行為は、民法113条所定の無権代理行為にあたる。
したがって、その行為は当然に無効となるのではない。本人の追認がない限り本人に効力が及ばず、追認があれば民法116条により行為の時に遡って効力を生ずる。本件では、共有者4名の追認により、売買予約のうち4名の共有持分に関する部分は成立の時に遡って有効となった。
判決文から
「親権者が民法八二六条に違反して、親権者と子の利益相反行為につき法定代理人としてなした行為は民法一一三条所定の無権代理行為にあたる」
利益相反行為=無権代理とする本判例の核心
「右売買予約中右四名の共有持分に関する部分は、その成立の時に遡つて効力を生じたものである」
追認の遡及効(民法116条)を確認した部分
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