硫黄鉱石事件
全量売買の継続的供給契約で、買主に信義則上の引取義務を認め、引取拒絶を債務不履行とした判例
出題:司法H23・司法R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和40(オ)548 損害賠償等請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第25巻9号1472頁
- 参照法条
- 民法1条,民法413条,民法555条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
硫黄鉱石売買契約の買主に引取義務が認められた事例
裁判要旨
硫黄鉱区の採掘権を有する甲が鉱石を採掘して乙に売り渡す硫黄鉱石売買契約において、甲は、乙に対し、右契約の存続期間を通じて採掘する鉱石の全量を売り渡す約定があつたなど判示の事情がある場合には、信義則上、乙には、甲が右期間内に採掘した鉱石を引き取る義務があると解すべきである。
解説
事案
X(被上告会社・鉱業会社)は、昭和32年4月16日、Y(上告人)と硫黄鉱石売買契約を結んだ。対象はXが本件鉱区から採掘する硫黄鉱石の全量で、期間は同年12月末日までとされた。期間はその後、昭和33年12月末日まで更新された。代金には前渡金400万円が支払われていた。
Xは採掘を始め、昭和32年中に約170トンを引き渡した。昭和33年6月には113.91トンを出荷し、その旨をYに通知した。ところがYは、市況の悪化を理由に出荷中止を要請した。Xは翻意を求めて折衝したが成功せず、同年9月11日頃には採掘中止を余儀なくされた。採掘済みの約1612トンは集積して出荷準備をしたにとどまった。
Yは113.91トンだけは引き取ったが、その後は引取りを拒絶したまま、10月29日に前渡金返還を求める通知を発した。契約関係は同年12月末日の期間満了で終了した。
Xは、引取義務の履行不能による損害賠償を請求した。原審はこれを認め、Yが上告した。
争点
- 売買契約の買主に、目的物の引取義務(受領義務)が認められるか
- 引取拒絶が債務不履行となるか
- 継続的供給契約の終了により、引取義務は買主の責めに帰すべき事由による履行不能となるか
- 価格協議が行われなかった場合に、約定価格を基準に損害額を算定できるか
判旨
上告棄却(主文で原判決の金額の誤記を更正)。
規範:売主が契約期間を通じて採掘する鉱石の全量を売買の対象とし、売主が買主に継続的に供給すべきものと定められた契約では、信義則に照らし、売主は採掘した鉱石全部を順次出荷し、買主はこれを引き取り、代金を支払うべき法律関係が存在する。
結論:
- 買主Yには、Xが採掘・提供した鉱石を引き取る義務があり、引取拒絶は債務不履行の効果を生ずる。
- 引取義務は契約関係の存続を前提とする。Yが引取りを拒絶したまま契約関係を終了させた以上、引取義務はYの責めに帰すべき事由により履行不能になった。
- 損害額は約定価格(純硫黄10kgにつき90円)で算定してよい。
判決文から
「信義則に照らして考察するときは、被上告会社は、右約旨に基づいて、その採掘した鉱石全部を順次上告人に出荷すべく、上告人はこれを引き取り、かつ、その代金を支払うべき法律関係が存在していたものと解するのが相当である。」
契約の趣旨と信義則から引取義務を導く規範部分
「上告人には、被上告会社が採掘し、提供した鉱石を引き取るべき義務があつたものというべきであり、上告人の前示引取の拒絶は、債務不履行の効果を生ずるものといわなければならない。」
引取拒絶=債務不履行という結論
「右引取義務は、上告人の責に帰すべき事由により履行不能になつたものというべきであり」
契約終了による引取義務の履行不能構成
「むしろ買主の立場にある上告人の側から協議を求めることが期待されるべきである。」
価格協議不成立を買主に有利に扱わない理由
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
