最決昭和45年9月4日
代理・代表権限のない者が代表・代理資格を表示して作成した文書の名義人は、代表・代理された本人であるとした決定
出題:司法H28・予備H27
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和44(あ)1421 有印私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載、同行使
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第24巻10号1319頁
- 参照法条
- 刑法159条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
いわゆる代表名義の文書の名義人
裁判要旨
他人の代表者または代理人として文書を作成する権限のない者が、他人を代表もしくは代理すべき資格、または、普通人をして他人を代表もしくは代理するものと誤信させるに足りるような資格を表示して作成した文書の名義人は、代表もしくは代理された本人であると解するのが相当である。
解説
事案
学校法人Bの理事会が昭和38年8月6日に開かれた。議案のうち理事任免と理事長選任の件は結論が出ないまま散会し、被告人Aを理事長に選任する決議も、Aに理事会議事録の署名人として議事録を作成する権限を与える決議もされなかった。
それにもかかわらず、被告人らは行使の目的で「理事会決議録」と題する文書を作成した。文書には、同日の理事会でAを理事長に選任し、Aを議事録署名人とすることを可決したなどと記載し、末尾に「理事録署名人A」と書いてAの印を押した。
第一審判決(原判決も是認)は、Aが権限のない理事会議事録署名人の資格を冒用したと構成した。そのうえで「理事会議事録署名人作成名義」の文書を偽造したとして、刑法159条1項(有印私文書偽造)に問擬した。被告人側が上告した。
争点
- 代表・代理権限のない者が代表・代理資格を表示して作成した文書の名義人は誰か(本人か、代理人・代表者か)
- 代表名義を冒用して本人名義の文書を偽造した場合に、刑法159条1項(有印)を適用する要件
判旨
上告は棄却された。
- 名義人についての規範:他人の代表者・代理人として文書を作成する権限のない者が、①他人を代表・代理すべき資格、または②普通人をして他人を代表・代理するものと誤信させるに足りる資格を表示して作成した文書は、表示された意識内容に基づく効果が本人に帰属する形式の文書である。したがって、その名義人は代表・代理された本人である。
- 本件へのあてはめ:本件決議録は内容・体裁から学校法人B理事会の議事録と認められる。「理事録署名人」の記載は、普通人に同理事会を代表するものと誤信させるに足りる資格の表示である。よって、理事会名義の文書の偽造となる。「議事録署名人作成名義」の文書の偽造とした原判決は、法令の解釈適用を誤っている。
- 有印か無印か:刑法159条1項(有印)とするには、文書自体に当該本人の印章・署名が使用されていなければならない。本件では理事会の印章・署名がないから、同条3項(無印)に該当する。
- もっとも、他に同条1項に当たる罪があり処断刑も変わらないので、この違法は判決に影響しない。
判決文から
「その文書によつて表示された意識内容にもとづく効果が、代表もしくは代理された本人に帰属する形式のものであるから、その名義人は、代表もしくは代理された本人であると解するのが相当である」
効果帰属を根拠に名義人を本人とする核心部分
「理事録署名人という記載は、普通人をして、同理事会を代表するものと誤信させるに足りる資格の表示と認められる」
正式な代表資格でなくても誤信させる表示で足りる
「これを、刑法一五九条一項の他人の印章もしくは署名を使用してしたものとするためには、その文書自体に、当該本人の印章もしくは署名が使用されていなければならないわけである」
有印か無印かは本人の印章・署名の有無で決まる
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
