最判昭和44年9月12日
注文者が棟上げまでに代金の半額以上を払い、その後も工事の進行に応じて支払っていた場合、建物は完成と同時に注文者へ原始的に帰属するとした事例
出題:司法R1・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和44(オ)538 所有権確認等請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第96号579頁
- 参照法条
- 民法632条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
請負契約に基づき建築された建物所有権が原始的に注文者に帰属するとされた事例
裁判要旨
注文者が、請負契約の履行として、請負人に対し、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、その後も工事の進行に応じ残代金の支払をして来たような場合には、特段の事情のないかぎり、建築された建物の所有権は、引渡をまつまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属するものと解するのが相当である。
解説
事案
被上告人(注文者)は、本件建物を含む4戸の建物の建築を上告人A(請負人)に注文した。被上告人は、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、その後も工事の進行に応じて残代金を支払ってきた。
本件は所有権確認等請求事件であり、本件建物の所有権の帰属が争われた。原審(大阪高裁)は、本件建物の所有権は、昭和39年3月末以前の建物として完成したとみられる時点で被上告人に帰属したと判断した。上告人らは、所有権の帰属についての原審の判断を争って上告した。
争点
- 請負契約に基づいて建築された建物の所有権は、注文者と請負人のどちらに、いつ帰属するか
- 注文者が代金の相当部分を工事の進行に応じて支払っていた場合、引渡しを待たずに完成と同時に注文者へ原始的に帰属するか
判旨
上告棄却。
- 規範:注文者が、請負契約の履行として、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、その後も工事の進行に応じて残代金を支払ってきたような場合には、特段の事情のないかぎり、建築された建物の所有権は、引渡しを待つまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属する。
- あてはめ:本件では上記の支払状況が認められる。したがって、本件建物の所有権は、建物として完成した時点(昭和39年3月末以前)で注文者である被上告人に帰属した。これと同旨の原審の判断は正当である。
判決文から
「全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、なお、工事の進行に応じ、残代金の支払いをして来た」
注文者帰属を導いた具体的な事実関係
「特段の事情のないかぎり、建築された建物の所有権は、引渡をまつまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属するものと解するのが相当である」
帰属主体・時期・原始取得を示した規範部分
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