最判昭和44年7月17日
建物所有権の移転で賃貸人の地位が承継されると、敷金は旧賃貸人への未払賃料に当然充当され、残額のみが新賃貸人に承継される。
出題:司法H22・司法H25・司法H26・司法H28・司法R4・司法R8・予備R4・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和43(オ)483 家賃金請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第23巻8号1610頁
- 参照法条
- 民法619条,借家法1条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
賃貸建物の所有権移転と敷金の承継
裁判要旨
建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。
解説
事案
上告人(賃借人)は、本件建物の当初の賃貸人である亡Dに敷金を差し入れて建物を賃借していた。Dの死亡により、賃貸人の地位は相続人Eらに承継された。その後、被上告人がEらから本件建物を買い受け、新賃貸人として賃貸人の地位を承継した。
上告人は昭和33年3月分以降の賃料の支払を滞っており、この点は原審で上告人自身も認めていた。本件は家賃金請求事件である。原審は、昭和33年3月1日から昭和39年3月15日までの未払賃料を合計54万3750円と認定した。上告人が主張した賃料免除の特約は認めなかった。
そのうえで原審は、Dに差し入れられた敷金の権利義務関係は、未払賃料に充当された後の限度で新賃貸人に承継されると判断した。上告人はこれを不服として上告した。
争点
- 建物所有権の移転に伴い賃貸人の地位が承継された場合、旧賃貸人に差し入れられた敷金の権利義務関係は新賃貸人に承継されるか
- 承継されるとして、旧賃貸人に対する未払賃料債務との関係はどうなるか(当然充当の有無と承継の範囲)
判旨
上告棄却(裁判官全員一致)。
規範:建物賃貸借契約において、建物の所有権移転に伴い賃貸人の地位が承継された場合、敷金の扱いは次のとおりである。
- 旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があれば、その弁済として当然に充当される。
- その限度で敷金返還請求権は消滅する。
- 残額についてのみ、敷金の権利義務関係が新賃貸人に承継される。
あてはめ:当初の賃貸人Dに差し入れられた敷金の権利義務関係は、まず相続人Eらに承継された。次いで、Eらから建物を買い受けて賃貸人の地位を承継した被上告人に、上記の限度で承継された。これと同旨の原審の判断は正当である。
判決文から
「敷金は、賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不履行があるときは、その弁済として当然これに充当される性質のものである」
当然充当を導く前提としての敷金の性質論
「旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである」
当然充当と残額承継という本判決の規範そのもの
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
