夕刊和歌山時事事件
真実性の証明がなくても、確実な資料・根拠に照らし相当の理由ある誤信なら故意がなく名誉毀損罪は不成立(判例変更)
出題:司法H24・司法H26・司法H30・司法R2・司法R5・予備R2・予備R5・予備R7・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和41(あ)2472 名誉毀損
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第23巻7号975頁
- 参照法条
- 刑法230条ノ2第1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
事実を真実と誤信したことにつき相当の理由がある場合と名誉毀損罪の成否
裁判要旨
刑法二三〇条ノ二第一項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である。
解説
事案
被告人は、自ら発行する昭和38年2月18日付「夕刊和歌山時事」に「吸血鬼Aの罪業」と題する記事を掲載し、頒布した。記事の内容は、C本人またはその指示を受けた同人経営の新聞の記者が、和歌山市役所土木部の課長に「出すものを出せば目をつむつてやる」などと捨てぜりふを吐き、さらに上層の主幹に「お前にも汚職の疑いがある」「一杯やりながら話をつけるか」と凄んだ、というものであった。
第一審は、刑法230条1項を適用して有罪とした。原審(大阪高裁)では、弁護人が「証明可能な程度の資料・根拠により真実と確信したから故意が阻却される」と主張した。しかし原審は、最判昭和34年5月7日を引き、真実性の証明がない以上、誤信していても故意は阻却されないとしてこれを排斥した。
また第一審では、証人Eが「記事内容の情報を市役所職員から聞き込み、被告人に提供した」と証言した。検察官が伝聞証拠であるとして異議を申し立て、第一審はこの部分を排除していた。
争点
- 刑法230条の2第1項の真実性の証明がない場合に、行為者が事実を真実と誤信していたとき、名誉毀損罪は成立するか
- 誤信による免責が認められるための要件(相当の理由の判断基準)
- 情報提供者の証言は、真実と誤信したことの相当性を立証する限りで伝聞証拠にあたるか
判旨
原判決および第一審判決を破棄し、和歌山地裁に差し戻した。
規範:刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、次の要件を満たすときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損罪は成立しない。
- 行為者がその事実を真実であると誤信したこと
- その誤信について、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があること
真実性の証明がない以上、誤信があっても罪責を免れないとした最判昭和34年5月7日は、変更する。
付随判断:Eの証言中、職員からの聞き込み部分は次のように扱われる。
- 記事内容が真実かどうかの点については伝聞証拠である
- 被告人が真実と誤信したことに相当の理由があったかどうかの点については伝聞証拠ではない
したがって、これを排除した第一審と、それを是認した原審には、法令解釈の誤りと審理不尽の違法がある。
判決文から
「刑法二三〇条ノ二の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法二一条による正当な言論の保障との調和をはかつたものというべきであり」
230条の2の趣旨=名誉と言論の調和
「行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である。」
答案に書く規範そのもの・故意の問題と構成
「被告人が本件記事内容を真実であると誤信したことにつき相当の理由があつたかどうかの点については伝聞証拠とはいえない」
要証事実により伝聞性が変わることを示す
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
