最判昭和44年4月3日
事実上の夫婦が婚姻意思に基づき届書を作成すれば、受理時に意識を失っていても、特段の事情のない限り婚姻は有効に成立する。
出題:司法R6・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和41(オ)1317 婚姻無効確認請求
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第23巻4号709頁
- 参照法条
- 民法739条,民法742条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
婚姻の届書が受理された当時本人が意識を失つていた場合と婚姻の届出の効力
裁判要旨
事実上の夫婦共同生活関係にある者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、届書の受理された当時意識を失つていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届書の受理により婚姻は有効に成立する。
解説
事案
Eは昭和39年9月頃から肝硬変症で入院していた。昭和40年4月3日頃から病状が悪化し、同月4日朝から完全な昏睡状態に陥り、同月5日午前10時20分に死亡した。その間の同月5日午前9時10分前後、訴外Dが、Eと上告人との婚姻届を盛岡市役所に持参して係員に交付し、届出は受理された。
被上告人らは、Eと上告人との婚姻の無効確認を求めて提訴した。原審(仙台高裁)は、婚姻届受理当時Eは完全な昏睡状態にあって意思能力がなく、婚姻をする合意があったとはいえないとして、婚姻を無効とした。上告人が上告した。
なお、被上告人らが婚姻無効を訴求する法律上の利益を有するとした原判決の判断は、上告審でも是認されている(上告理由第一点は排斥)。
争点
- 婚姻届の受理当時、当事者の一方が昏睡状態にあり意識(意思能力)を失っていた場合、婚姻は有効に成立するか
- 婚姻意思(民法742条1号)はどの時点で存在することを要するか
判旨
結論:原判決を破棄し、原審に差し戻した。
規範:婚姻届が本人の意思に基づいて作成され、本人がその作成当時に婚姻意思を有しており、相手方との間に事実上の夫婦共同生活関係が存続していた場合を考える。このとき、届書が受理されるまでの間に本人が完全な昏睡状態に陥り意識を失ったとしても、届書受理前に死亡した場合とは異なる。届書受理以前に翻意するなど婚姻の意思を失う特段の事情のない限り、届書の受理によって婚姻は有効に成立する。
差戻しの理由:原審は、受理時に意思能力がなかったという一事だけで婚姻を無効とした。これは法律の解釈適用を誤ったものである。そこで、次の点を審理させるため原審に差し戻した。
- 届書がEの婚姻意思に基づいて作成されたか
- 受理までに翻意等の特段の事情があったか
判決文から
「本件婚姻届がEの意思に基づいて作成され、同人がその作成当時婚姻意思を有していて、同人と上告人との間に事実上の夫婦共同生活関係が存続していたとすれば」
有効となるための前提要件(作成時の意思・事実婚)
「届書受理前に死亡した場合と異なり、届出書受理以前に翻意するなど婚姻の意思を失う特段の事情のないかぎり、右届書の受理によつて、本件婚姻は、有効に成立したものと解すべきである。」
規範の核心。死亡との区別と特段の事情
「その届書受理の瞬間に当り、たまたま一時的に意識不明に陥つたことがある以上、その後再び意識を回復した場合においてすらも、右届書の受理によつては婚姻は有効に成立しないものと解することとなり、きわめて不合理となるからである。」
反対解釈の不合理性という理由づけ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
