都教組事件(東京都教組事件)
地公法37条・61条4号を合憲限定解釈し(二重のしぼり)、争議行為に通常随伴するあおり行為を処罰対象外とした
出題:司法H28・司法R5・司法R7・司法R8・予備H28・予備R4・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和41(あ)401 地方公務員法違反
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 刑集 第23巻5号305頁
- 参照法条
- 憲法28条,憲法31条,憲法18条,地方公務員法37条,地方公務員法61条4号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 地方公務員法三七条六一条四号の合憲性 二 地方公務員法六一条四号の適用が許されないとされた事例
裁判要旨
一 地方公務員法三七条は憲法二八条に、地方公務員法六一条四号は憲法二八条、三一条、一八条に違反しない。 二 A教職員組合が、文部省の企図した公立学校教職員に対する勤務評定の実施に反対するため、一日の一せい休暇闘争を行なうにあたり、被告人らが組合の幹部としてした闘争指令の配布、趣旨伝達等、争議行為に通常随伴する行為に対しては、地方公務員法六一条四号所定の刑事罰をもつてのぞむことは許されない。
解説
事案
文部省は公立学校教職員に対する勤務評定の実施を企図していた。A教組は、勤務評定の実施に反対するC教組の方針に則り、定例委員会で休暇闘争を含む実力行使で対応する方針を決めた。都教育長は、昭和33年3月23日の都教育委員会に勤務評定規則案を上程すると言明し、以後の話合いを拒否した。そこでA教組は、同月21日、組合員は勤務評定を実施させない措置を地公法に基づき人事委員会に要求せよ、その手続は23日の全員集会で取りまとめ、必要な休暇請求は同日までに行え、という趣旨の指令を発し、23日に1日の一せい休暇闘争を行った。
被告人らは、A教組の執行委員長その他の幹部として、この指令の配布や趣旨伝達等を行った。原判決は、休暇闘争を同盟罷業にあたるとし、被告人らの行為を地公法61条4号の「あおり」にあたるとして刑責を認めた。被告人らは、地公法37条・61条4号が憲法28条・18条・31条に違反することなどを主張して上告した。
争点
- 地公法37条1項(地方公務員の争議行為の禁止)は憲法28条に違反するか
- 地公法61条4号(争議行為のあおり行為等の処罰)は憲法28条・31条・18条に違反するか
- 地公法61条4号の処罰対象となるあおり行為等の範囲(合憲限定解釈の可否と内容)
- 組合幹部による指令の配布・趣旨伝達に同号を適用できるか
判旨
原判決を破棄し、被告人らを無罪とした(破棄自判)。
- 合憲性:地公法37条・61条4号は、文字どおり全地方公務員の一切の争議行為を禁止し、一切のあおり行為等を処罰する趣旨と解すると違憲の疑いを免れない。しかし、法律の規定は可能な限り憲法の精神に即して合理的に解釈すべきであり、合理的解釈によって規制の限界が認められる。したがって、違憲無効とはいえない。
- 争議行為の違法性:争議行為の禁止で守る法益と、労働基本権の保障で実現する法益とを比較衡量して判断する。違法性の強い場合、弱い場合、実質的に争議行為に該当しない場合がありうる。
- 処罰範囲(二重のしぼり):61条4号は、争議行為自体が違法性の強いものであることを前提とする。さらに、あおり行為等にも違法性の強弱があるので、一律に処罰することは許されない。争議行為に通常随伴して行われる行為は処罰の対象とならない。
- 当てはめ:被告人らの指令配布・趣旨伝達は争議行為の一環であり、通常随伴行為にあたる。よって、刑事罰をもって臨む違法性を欠く。
判決文から
「法律の規定は、可能なかぎり、憲法の精神にそくし、これと調和しうるよう、合理的に解釈されるべきものであつて」
合憲限定解釈の一般論
「とくに、勤労者の争議行為に対して刑事制裁を科することは、必要やむをえない場合に限られるべきである」
全逓東京中郵判決の基準を承継
「争議行為自体が違法性の強いものであることを前提とし、そのような違法な争議行為等のあおり行為等であつてはじめて、刑事罰をもつてのぞむ違法性を認めようとする趣旨と解すべきであつて」
第一のしぼり(争議行為の違法性)
「争議行為に通常随伴して行なわれる行為のごときは、処罰の対象とされるべきものではない。」
第二のしぼり(あおり行為の限定)
「「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことが許されないことは当然であるが」
全体の奉仕者論による一律否定を排斥
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
