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最判昭和44年12月4日

「やむを得ずにした行為」とは防衛手段としての相当性をいう。結果がたまたま大きくても、それだけで正当防衛は否定されない。

刑法違法性阻却(正当防衛・緊急避難)本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H22・司法H29・司法R3・司法R5・司法R7・予備H25・予備R3・予備R7

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和44(あ)1165 傷害
裁判
判決・破棄差戻
判例集
刑集 第23巻12号1573頁
参照法条
刑法36条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

刑法三六条一項にいう「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」の意義

裁判要旨

刑法三六条一項にいう「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」とは、反撃行為が急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を有することを意味し、右行為によつて生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であつても、正当防衛行為でなくなるものではない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、勤務先の運送店事務所の入口付近で、貨物自動車の買戻し交渉に来たAと押し問答を続けていた。その最中、Aが突然、被告人の左手の中指と薬指をつかんで逆にねじあげた。被告人は痛さのあまりこれを振りほどこうとして、右手でAの胸のあたりを1回強く突き飛ばした。Aは仰向けに倒れ、たまたま付近に駐車していたA自身の自動車の後部バンパーに後頭部を打ちつけ、治療45日間を要する頭部打撲症の傷害を負った。

原判決(東京高裁)は、Aの行為が急迫不正の侵害にあたることを認めた。そのうえで、生じた傷害結果に照らせば防衛の程度を超えるとして過剰防衛と判断し、被告人を傷害罪で有罪とした。被告人が上告した。

争点

  • 刑法36条1項にいう「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」(やむを得ずにした行為)の意義
  • 反撃行為によって生じた結果が、侵害されようとした法益より大きい場合に、それだけで防衛の程度を超えた(過剰防衛)といえるか

判旨

原判決破棄・差戻し(職権判断。上告趣意自体は適法な上告理由にあたらないとされた)。

規範:刑法36条1項の「やむを得ずにした行為」とは、急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち防衛手段として相当性を有することを意味する。

反撃行為がこの限度を超えず相当性を有する以上、反撃行為から生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であっても、正当防衛行為でなくなるものではない。

当てはめ:本件で問うべきは、被告人の行為が防衛手段として上記の限度を超えたか否かである。ところが原判決は、たまたま生じた傷害結果の大きさにとらわれ、たやすく過剰防衛とした。これは法令の解釈適用を誤ったもので、審理不尽の違法がある。

判決文から

「刑法三六条一項にいう「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」とは、急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること」

「やむを得ずにした」の定義。答案の規範部分

「すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味するのであつて」

必要最小限度=防衛手段としての相当性と言い換えた点

「その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であつても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきである。」

相当性は結果の大小で決まらないことを明示

「たまたま生じた右傷害の結果にとらわれ、たやすく被告人の本件行為をもつて、そのよつて生じた傷害の結果の大きさにかんがみ防衛の程度を超えたいわゆる過剰防衛であるとした原判決は」

結果基準で過剰防衛とした原審を否定した部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。