三井美唄労組事件
立候補の自由は憲法15条1項で保障される。組合は勧告・説得はできるが、立候補を理由に組合員を処分することは統制権の限界を超える
出題:司法H23・司法H26・司法H28・司法R4・司法R5・司法R8・予備H28・予備R4・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和38(あ)974 公職選挙法違反
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第22巻13号1425頁
- 参照法条
- 憲法15条1項,憲法25条,憲法28条,労働組合法1条1項,労働組合法2条,公職選挙法10条,公職選挙法225条1号,公職選挙法225条3号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 労働組合の統制権と憲法第二八条 二 公職選挙への立候補の自由と憲法第一五条第一項 三 労働組合の統制権と組合員の立候補の自由
裁判要旨
一 労働組合は、憲法第二八条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。 二 公職の選挙に立候補する自由は、憲法第一五条第一項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。 三 労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない。
解説
事案
地方議会議員の選挙で、労働組合が組合の統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を進めた。組合員Cは統一候補に選ばれなかったため、独自に立候補する意思を示した。
被告人ら組合幹部は、組合の方針に従って立候補を断念するよう、Cを再三説得した。しかしCは応じず、独自の立場で立候補することを明らかにした。幹部らは説得をあきらめ、組合の決定に基づいてCを統制違反者として処分する措置に出た。
被告人らは、公職の候補者となろうとする者を威迫したなどとして、公職選挙法違反(同法225条)で起訴された。原審(札幌高裁)は次のように判断し、被告人らの行為は違法性を欠くとした。
- 労働組合の本質に照らせば、統一候補の方針に反して立候補する組合員に組合の統制権が及ばないとするのは正当でない。
- 本件の統制権の発動は不当とは認めがたい。
これに対し、検察官が上告した。
争点
- 労働組合の組合員に対する統制権の憲法上の根拠と範囲(憲法28条)
- 立候補の自由(被選挙権)は憲法上保障されるか、その根拠条文はどこか(憲法15条1項)
- 組合の統制権によって、統一候補以外の組合員の立候補をどこまで制約できるか
判旨
原判決のうち一部(労働会館での威迫の点についての控訴棄却部分)を除いて破棄し、札幌高裁に差し戻した。
- 統制権:労働組合は、憲法28条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、組合員に対する統制権を有する。
- 政治活動:組合は、目的達成に必要な政治活動・社会活動も行える。統一候補を決めて選挙運動をすることも許される。
- 立候補の自由:立候補の自由は、憲法15条1項の保障する重要な基本的人権の一つである。
- 判断基準:統制権による立候補の自由の制約は特に慎重であるべきである。統制権行使の必要性と立候補の自由の重要性とを比較衡量して、許否を決する。
- 当てはめ:統一候補以外の組合員に、立候補を思いとどまるよう勧告・説得することは許される。しかし、その域を超えて立候補の取りやめを要求し、従わないことを理由に統制違反者として処分することは、統制権の限界を超え違法である。
判決文から
「憲法二八条による労働者の団結権保障の効果として、労働組合は、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、その組合員に対する統制権を有するものと解すべきである。」
統制権の根拠(28条)と範囲の規範
「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、きわめて重要である。」
立候補の自由が重要である理由(選挙権と表裏)
「憲法一五条一項には、被選挙権者、特にその立候補の自由について、直接には規定していないが、これもまた、同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。」
立候補の自由の根拠は15条1項
「組合の団結を維持するための統制権の行使に基づく制約であつても、その必要性と立候補の自由の重要性とを比較衡量して、その許否を決すべきであり」
統制権と立候補の自由の調整基準
「勧告または説得の域を超え、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分するがごときは、組合の統制権の限界を超えるものとして、違法といわなければならない。」
勧告・説得は可、処分は違法という結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
