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最大判昭和43年12月25日

取締役の債務を会社が引き受ける間接取引も旧商法265条の取引に含まれる。承認を欠く場合、第三者には悪意を会社が立証しない限り無効を主張できない。

商法役員の責任取締役・取締役会・代表取締役手形法・小切手法本試験で 3 問(短答 2・論文 1)

出題:司法R3・予備H25・予備H26

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
昭和42(オ)1327 売掛代金請求
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第22巻13号3511頁
参照法条
商法265条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一、商法第二六五条にいう取引の意義 二、商法第二六五条に違反する取引の効力

裁判要旨

一、商法第二六五条にいう取引には、取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反行為のみならず、取締役個人の債務について、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をする等取締役個人の利益となり会社に不利益を与える行為も包含されるものと解すべきである。 二、会社は、商法第二六五条に違反する取引のうち、取締役と会社との間に直接成立すべき取引については、右取締役に対して、その無効を主張することができるが、取締役が会社を代表して自己のためにした会社以外の第三者との間の取引については、右第三者が取締役会の承認を受けていなかつたことについて悪意であるときにかぎり、その無効を主張することができる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Dは、妻E名義のF電機商会という個人企業を実質的に営み、仕入先である上告会社Aに対して買掛代金債務(265万4008円)を負っていた。Dはこの小売業を会社組織で営むため被上告会社Bを設立し、自ら代表取締役に就任した。Bは設立の頃、Dが代表して、DのAに対する上記債務を引き受けた。その後もAとBの取引は継続し、DはBの代表取締役としてこの引受債務を確認している。Bでは設立以来、取締役会が開かれたことがなく、債務引受について取締役会の承認はなかった。

AがBに引受債務の履行を求めたのに対し、原審は、本件債務引受に商法265条の適用があり、取締役会の承認を欠くから無効であるとして、請求の一部(引受債務分)を棄却した。Aが上告した。

争点

  • 取締役個人の債務を、その取締役が会社を代表して引き受ける行為(間接取引)は、旧商法265条(現会社法356条1項)の「取引」に当たるか
  • 取締役会の承認を欠く利益相反取引の効力(取締役との関係・第三者との関係)
  • 第三者に無効を主張する場合の主張立証責任の所在

判旨

破棄自判。Aの請求を全部認容した。

  • 規制対象(取引の範囲):旧商法265条の「取引」には、取締役と会社の間で直接成立する利益相反行為(直接取引)だけでなく、取締役個人の利益となり会社に不利益を及ぼす行為も含まれる。取締役個人の債務について、その取締役が会社を代表して債権者に対し債務引受をする行為がその例であり、取締役の自己のためにする取引に当たる。
  • 効力:取締役会の承認を受けないでした行為は、民法108条違反と同様に、一種の無権代理人の行為として本来無効である。
  • 直接取引では、会社は当該取締役に対し、承認がないことを理由に無効を主張できる。
  • 取締役が会社を代表して自己のために第三者とした取引では、取引の安全の見地から善意の第三者を保護する必要がある。そのため会社は、①承認がなかったことに加えて、②相手方第三者が悪意(承認がないことを知っていること)であることを主張・立証して初めて、無効を対抗できる(相対的無効)。
  • あてはめ:本件ではAの悪意について主張・立証がないため、BはAに無効を主張できない。

判決文から

「取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が濫りに行なわれることを防止しようとする法意に外ならない」

265条の趣旨。間接取引を含める根拠になる

「取締役個人の債務につき、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をなすが如き、取締役個人に利益にして、会社に不利益を及ぼす行為も、取締役の自己のためにする取引として、これに包含されるものと解すべきである」

間接取引も規制対象とした中核部分

「その承認を受けないでした行為は、民法一〇八条違反の場合と同様に、一種の無権代理人の行為として無効となることを予定しているものと解すべきである」

無承認取引を無効とする根拠(反対解釈)

「会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかつたことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知つていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得る」

相対的無効と、会社側の主張立証責任

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。