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墓地埋葬法通達事件

最判昭和43年12月24日

通達は行政組織内部の命令にすぎず国民も裁判所も拘束しないから、取消訴訟の対象とならないとした判例

行政法行政立法・行政計画取消訴訟の訴訟要件取消訴訟の審理・判決本試験で 8 問(短答 7・論文 1)

出題:司法H25・司法H26・司法R3・予備H27・予備H28・予備R3・予備R4

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和39(行ツ)87 法律解釈指定通達取消請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第22巻13号3147頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,墓地、埋葬等に関する法律13条,墓地、埋葬等に関する法律21条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

通達の取消の訴が許されないとされた事例

裁判要旨

昭和三五年三月八日付衛環発第八号都道府県等衛生主管部局長あて厚生省公衆衛生局環境衛生部長通知は、宗教団体の経営する墓地の管理者は埋葬等を請求する者が他の宗教団体の信者であることのみを理由としてその請求を拒むことはできないからこの趣旨にそつて事務処理をすべき旨を求めた行政組織内部における命令にすぎず、従来の法律の解釈、事務の取扱を変更するものではあるが、墓地の管理者らにあらたに埋葬の受忍義務を課する等これらの者の権利義務に直接具体的な法律上の影響を及ぼすものではなく、墓地の経営者からその取消を求める訴を提起することは許されない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

厚生省公衆衛生局環境衛生部長は、都道府県・指定都市の衛生主管部局長にあてて通達を発した。内容は、墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)13条について、昭和24年8月22日付東京都衛生局長あて回答の見解を改め、今後は内閣法制局第一部長の昭和35年2月15日付回答の趣旨に沿って解釈・運用するというものである。その趣旨は、宗教団体の経営する墓地の管理者は、埋葬等を請求する者が他の宗教団体の信者であることのみを理由に請求を拒めない、というものであった。あわせて、諸機関がこの点に留意して事務処理をするよう求めていた。
墓地の経営者である上告人は、通達中のこの部分の取消しを求めて出訴した。上告人の主張は次のとおりである。

  • 本件通達は、従来慣習法上認められていた異宗派を理由とする埋葬拒否権を変更し、新たに埋葬請求の受忍義務を課した。
  • 拒否すれば同法21条により刑罰を科されるおそれがある。
  • 通達後、現に損害・不利益を受けている。

原審は訴えを許されないものとした。上告人が上告した。

争点

  • 通達は国民・裁判所を拘束するか(通達の法的性質)
  • 法律解釈を変更する通達の取消しを求める訴えは適法か(取消訴訟の対象性・処分性)

判旨

上告棄却(訴え却下の原判決を維持)。

  • 通達の性質:通達は原則として法規の性質をもたない。上級行政機関が下級行政機関・職員に職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発する行政組織内部の命令にすぎない。
  • 拘束力の範囲:通達に拘束されるのは下級機関・職員であり、一般国民は直接拘束されない。通達の内容が法令の解釈・取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつ場合でも同じである。
  • 処分の効力:通達の趣旨に反する処分がされても、そのことを理由に処分の効力は左右されない。
  • 裁判所との関係:裁判所は通達に拘束されず、独自に法令を解釈し、通達の取扱いの違法を判定できる。
  • 規範:取消訴訟の対象となるのは、国民の権利義務・法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼす行政処分等でなければならない。
  • 本件へのあてはめ:本件通達は従来の解釈・取扱いを変更するものであるが、知事以下の行政機関を拘束するにとどまる。墓地経営権・管理権を直接侵害したり、新たに受忍義務を課したりするものではない。よって取消しを求める訴えは許されない。

判決文から

「元来、通達は、原則として、法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであり」

通達の法的性質の定義。答案の出発点

「一般の国民は直接これに拘束されるものではなく、このことは、通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合においても別段異なるところはない。」

権利義務に重大な影響があっても国民は拘束されない

「行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではない。」

通達違反は処分の効力に直結しない

「裁判所は、法令の解釈適用にあたつては、通達に示された法令の解釈とは異なる独自の解釈をすることができ、通達に定める取扱いが法の趣旨に反するときは独自にその違法を判定することもできる筋合である。」

裁判所は通達に拘束されないことの明示

「現行法上行政訴訟において取消の訴の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならない」

取消訴訟の対象(処分性)の判断基準

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。