最判昭和42年8月25日
共有物分割は持分の交換・売買であり原始取得ではない。一筆の一部を取得する場合は分筆登記の後に一部移転登記をする
出題:司法R3・司法R4・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和40(行ツ)53 登記申請却下処分取消請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第21巻7号1729頁
- 参照法条
- 民法256条,不動産登記法39条ノ2
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
共有物分割の結果不動産の一部について単独所有権を取得した場合の登記方法
裁判要旨
共有物分割の結果不動産の一部について単独所有権を取得した場合には、分筆登記を経由したうえで、権利の一部移転の登記手続をすべきである。
解説
事案
一個の不動産を数人で共有していた。共有者の一人である上告人と他の共有者との間で、共有物の現物分割を内容とする裁判上の和解が成立し、各人が不動産の一部ずつを単独で所有することになった。
上告人は、この裁判上の和解そのものを登記原因として、自分が取得した部分の所有権取得登記を単独で申請した。登記官はこの申請を却下した。上告人は却下処分の取消しを求めて訴えたが、原審(福岡高裁宮崎支部)は申請を不適法と判断した。
上告人は上告し、次のように主張した。各共有者は分割によって取得部分の単独所有権を原始的に取得するのであり、原審は共有物分割の法理と不動産登記法の解釈・適用を誤っている。
争点
- 共有物分割による取得は原始取得か、承継取得か(共有物分割の法的性質)
- 一個の不動産を現物分割し、各共有者がその一部ずつを単独所有することになった場合の登記手続
- 現物分割を内容とする裁判上の和解を登記原因として、共有者の一人が単独で登記申請できるか
判旨
上告棄却(登記申請は不適法)。
- 規範1(分割の性質):共有物の分割は、共有者相互間で、共有物の各部分について持分の交換または売買が行われるものである(民法249条・261条参照)。各共有者が取得部分の単独所有権を原始的に取得するものではない。
- 規範2(登記方法):一個の不動産が数人の共有に属し、分割の結果各人がその一部ずつの単独所有者となる場合は、まず分筆の登記をし、そのうえで権利の一部移転の登記をすべきである。
- あてはめ:本件の裁判上の和解は現物分割を内容とするものにすぎない。分割協議に代わる各共有者の意思の陳述を擬制するものではない。したがって、本来は共有物分割を登記原因とする持分移転登記を、登記義務者である他の共有者と共同で申請すべきである。和解自体を登記原因とする上告人単独の所有権取得登記申請は不適法である。
判決文から
「共有物の分割は、共有者相互間において、共有物の各部につき、その有する持分の交換又は売買が行なわれることであつて(民法二四九条、二六一条参照)」
分割=持分の交換・売買という性質決定の核心
「各共有者がその取得部分について単独所有権を原始的に取得するものではない。」
原始取得説を明示的に否定した部分
「一箇の不動産が数人の共有に属し分割の結果各人がその一部ずつについて単独所有者となる場合には、まず分筆の登記手続をしたうえで、権利の一部移転の登記手続をなすべきである。」
分割後の登記方法(分筆→一部移転)の規範
「所論裁判上の和解は、共有物の現物分割を内容とするものであつて、分割の協議に代わるべき各共有者の意思の陳述を擬制するものでないこと」
単独申請を認めなかった理由
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