最判昭和42年6月27日
幼児が被害者のときの「被害者側の過失」は、身分上・生活関係上一体をなす者の過失に限られ、保育園の保母の過失は含まれないとした判例
出題:司法H24・司法H26・司法R6・司法R7・予備H26
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和40(オ)1056 慰藉料請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第21巻6号1507頁
- 参照法条
- 民法722条2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 被害者本人が幼児である場合と民法第七二二条第二項にいう被害者の範囲 二 同条項にいう被害者の過失にあたらないとされた事例
裁判要旨
一 被害者本人が幼児である場合における民法第七二二条第二項にいう被害者の過失には、被害者側の過失をも包含するが、右にいわゆる被害者側の過失とは、被害者本人である幼児と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失をいうものと解するのが相当である。 二 保育園の保母が当該保育園の被用者として被害者たる幼児を監護していたにすぎないときは、右保育園と被害者たる幼児の保護者との間に、幼児の監護について保育園側においてその責任を負う旨の取極めがされていたとしても、右保母の監護上の過失は、民法第七二二条第二項にいう被害者の過失にあたらない。
解説
事案
幼児Fが事故の被害を受け、Fの両親(被上告人ら)が加害者側(上告人ら)に慰藉料を請求した。
- Fが通うD保育園の保母Eには、Fの監護についての過失があり、それが事故発生の一因となっていた。
- 保育園と園児の保護者との間には、「登園・帰宅の際、一定の区間は保育園側が監護の責任を受け持つ」旨の取極めがあった。
- EはFの両親から直接委託を受けた両親の被用者ではない。D保育園の被用者として、事故当日、Fを含む園児を引率・監護していたにすぎない。
上告人らは、両親から幼児の監護を委託された者の被用者であるEの過失も、民法722条2項の「被害者の過失」として斟酌すべきだと主張した。原審(東京高裁)はこれを否定し、上告人らが上告した。
争点
- 民法722条2項の「被害者の過失」に、被害者本人以外の者の過失(被害者側の過失)が含まれるか
- 被害者本人が幼児である場合、「被害者側の過失」とはどの範囲の者の過失か
- 保護者との間に監護責任の取極めがある保育園の保母の過失は、被害者側の過失に当たるか
判旨
上告棄却。
- 規範:民法722条2項の「被害者の過失」は、被害者本人の過失に限られず、広く被害者側の過失を含む。ただし、被害者本人が幼児である場合の被害者側の過失とは、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいう。例として、監督者である父母や、父母の被用者である家事使用人が挙げられる。両親から幼児の監護を委託された者の被用者のように、被害者と一体をなすとみられない者の過失は含まれない。
- あてはめ:保母Eは、両親から直接委託を受けた両親の被用者ではなく、保育園の被用者として園児を引率・監護していたにすぎない。保育園と保護者の間に監護責任の取極めがあっても、EはFと一体をなす者とはいえない。したがって、Eの過失は「被害者の過失」に当たらない。
判決文から
「民法七二二条二項に定める被害者の過失とは単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解すべきではあるが」
被害者側の過失の法理を肯定した部分
「被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものと解するを相当とし」
答案に書く被害者側の範囲の規範
「被害者と一体をなすとみられない者の過失を斟酌することは、第三者の過失によつて生じた損害を被害者の負担に帰せしめ、加害者の負担を免ずることとなり、却つて公平の理念に反する結果となるからである。」
範囲を限定する理由(公平の理念)
「右Eは、Fの両親である被上告人らより直接に委託を受け被上告人らの被用者としてFの監護をしていたのではなく」
家事使用人型との区別のポイント
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
