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最判昭和42年11月2日

取引的不法行為で、職務権限外であることを相手方が知っていたか重過失で知らなかったときは、使用者責任を否定した判例

民法不法行為本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H25・司法R6

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和39(オ)1103 損害賠償請求
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第21巻9号2278頁
参照法条
民法715条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでない行為についての被害者の悪意・重過失と民法第七一五条

裁判要旨

被用者の取引行為がその外形からみて使用者の事業の範囲内に属すると認められる場合であつても、それが被用者の職務権限内において適法に行なわれたものではなく、かつその相手方が右の事情を知り、または少なくとも重大な過失によつてこれを知らないものであるときは、その相手方である被害者は、民法第七一五条により使用者に対してその取引行為に基づく損害の賠償を請求することができない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告銀行のD支店長Eは、被上告会社の依頼を受け、被上告会社振出の手形(額面合計3000万円)を預かった。取引の内容は、銀行自身が貸付や手形割引をするものではなかった。第三者である会社がその取引銀行に持つ手形割引の枠を使って割り引いてもらうよう斡旋する、というものである。

  • Eは銀行の内規・慣行に反してこの取引をし、支店長代理に相談せず、本店にも報告しなかった。出資法3条・9条違反の疑いもあった。
  • 被上告会社は、銀行自身が割り引くのではなく斡旋にすぎないと告げられたうえで手形を交付していた。
  • 手形は融通手形であり、被上告会社の関係者とEが通謀して子会社F物産に裏書させ、商業手形の体裁を整えていた。
  • 被上告会社はそれまで同支店と取引がなく、約定書の差入れも担保提供も求められなかった。
  • 交渉には被上告会社の常務取締役(経理部長)と経理課長が直接あたっていた。

被上告会社は民法715条に基づき銀行に損害賠償を請求し、原審はこれを認容した。

争点

  • 被用者の取引行為が外形上使用者の事業の範囲内に属する場合でも、職務権限内で適法に行われたものでないことにつき相手方が悪意・重過失であるときに、民法715条の使用者責任が成立するか
  • 本件で相手方(被上告会社)に悪意・重過失が認められる余地があるか

判旨

破棄差戻し。

規範:次の2つが認められるときは、その行為に基づく損害は民法715条にいう「事業の執行について」第三者に加えた損害とはいえない。したがって、相手方は使用者に損害賠償を請求できない。

  • 被用者の取引行為が外形上使用者の事業の範囲内に属するとしても、その行為が被用者の職務権限内で適法に行われたものでないこと
  • 相手方がその事情を知りながら、または少なくとも重大な過失により知らないで取引をしたこと

あてはめ:本件では、上記の諸事実、とりわけ金融取引に知識・経験のある常務取締役(経理部長)と経理課長が直接関与していたことからすると、被上告会社は職務権限の逸脱について悪意または重過失だったのではないかとの疑問を禁じえない。この点を確認せずに請求を認容した原判決には、715条の解釈適用の誤りと審理不尽の違法がある。

判決文から

「その行為が被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでなく、かつ、その行為の相手方が右の事情を知りながら、または、少なくとも重大な過失により右の事情を知らないで、当該取引をしたと認められるときは」

使用者責任が否定される要件(悪意・重過失)

「その行為にもとづく損害は民法七一五条にいわゆる「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」とはいえず」

事業執行性の要件そのものが否定されるという構成

「その職務上金融取引につき相当の知識と経験とを有するものと推認される被上告会社の常務取締役(経理部長)および経理課長が直接右取引に関与していることを考えると」

重過失を推認させる相手方側の事情

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。