最判昭和42年10月27日
未完成仕事部分の請負報酬債権の譲渡では、異議なき承諾があっても、悪意の譲受人には譲渡後の解除を対抗できるとした判例
出題:司法R1・司法R2・司法R4・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和42(オ)186 譲渡債権請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第21巻8号2161頁
- 参照法条
- 民法468条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
未完成仕事部分に関する請負報酬金債権の譲渡後に生じた仕事完成義務不履行を事由とする請負契約の解除をもつて右債権の譲受人に対抗することができるとされた事例
裁判要旨
未完成仕事部分に関する請負報酬金債権の譲渡について、債務者の異議をとどめない承諾がされても、譲受人が右債権が未完成仕事部分に関する請負報酬金債権であることを知つていた場合には、債務者は、右債権の譲渡後に生じた仕事完成義務不履行を事由とする当該請負契約の解除をもつて譲受人に対抗することができる。
解説
事案
注文者Xは昭和38年4月15日、請負人D建設に店舗兼住宅の建築を注文した。報酬は290万円で、完成時期は同年6月末日とされた。支払は、契約時100万円、4月30日50万円、6月5日40万円、完成引渡時90万円で、残10万円は仮契約金を充当する約定であった。
同年6月19日、Dは完成引渡時に支払われる分割金90万円のうち80万円をYに譲渡し、Xは異議をとどめずに承諾した。Yは譲渡の際、この債権が請負報酬請求権であり、しかも将来完成されるべき未完成工事部分の報酬であることを知っていた。
Dは報酬のうち200万円を受け取りながら、7月30日以降工事を中止し、約6分どおりの出来高のまま放置した。そこでXは9月25日に請負契約を解除した。YがXに譲受債権の支払を求めたが、原審はXの支払拒絶を認め、Yが上告した。
争点
- 請負報酬債権の譲渡・対抗要件具備の後に生じた仕事完成義務の不履行による解除は、「譲渡時に存在した事由」として譲受人に対抗できるか
- 異議をとどめない承諾(旧民法468条1項本文)の抗弁切断効は、悪意の譲受人にも及ぶか
判旨
上告棄却。判旨は次の二段構成である。
- 解除原因の存否:請負報酬請求権が譲渡され対抗要件を備えた後に、請負人の仕事完成義務の不履行が生じ、それに基づいて解除された場合でも、譲渡前にすでに反対給付義務が発生している以上、債権譲渡時にすでに契約解除を生ずるに至るべき原因が存在していたといえる。
- 異議なき承諾の効果:このため、債務者が異議をとどめない承諾をすれば、原則として解除を譲受人に対抗できない。しかし、譲受人が、当該債権が未完成仕事部分に関する請負報酬請求権であることを知っていた場合には、異議なき承諾があっても、債務者は解除をもって譲受人に対抗できる。
本件では、Xは悪意の譲受人Yに対し、解除によって報酬残金の支払義務が消滅したことを理由に支払を拒める。
判決文から
「右債権譲渡前すでに反対給付義務が発生している以上、債権譲渡時すでに契約解除を生ずるに至るべき原因が存在していたものというべきである。」
譲渡後の解除も譲渡時の事由と扱う根拠
「債務者が異議をとどめない承諾をしても、譲受人において右債権が未完成仕事部分に関する請負報酬請求権であることを知つていた場合には債務者は、譲受人に契約解除をもつて対抗することができるものと解すべきである。」
悪意の譲受人には抗弁切断が及ばないとする規範
「悪意の譲受人に対してはこのような保護を与えることを要しないというべきだからである。」
抗弁切断効を取引安全保護の法定効果と捉える理由
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
