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原付右折事件

最判昭和42年10月13日

右折する原付運転者は、後続車が交通法規を守ることを信頼すれば足りるとして過失を否定し、無罪とした。

刑法過失本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法R3・司法R4・司法R7

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和41(あ)1831 業務上過失致死
裁判
判決・その他
判例集
刑集 第21巻8号1097頁
参照法条
刑法211条,道路交通法(昭和39年法律91号による改正前のもの)17条4項,道路交通法(昭和39年法律91号による改正前のもの)28条3項,道路交通法(昭和39年法律91号による改正前のもの)34条4項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

右折を初めようとする原動機付自転車の運転者に交通法規に違反して高速度でセンターラインの右側にはみ出してまで自車を追い越そうとする車両のありうることまでも予想すべき注意義務がないとされた事例

裁判要旨

幅員約10メートルの一直線で見通しがよく、他に往来する車両のない道路のセンターラインの若干左側から、進路の右側にある小路にはいるため、右折の合図をしながら、右折を始めようとする原動機付自転車の運転者としては、後方から来る他の車両の運転者が、交通法規を守り、速度をおとして自車の右折を待つて進行する等、安全な速度と方法で進行するであろうことを信頼して運転すれば足り、本件被害者のようにあえて交通法規に違反して、高速度で、センターラインの右側にはみ出してまで自車を追い越そうとする車両のありうることまでも予想して、右後方に対する安全を確認し、もつて事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務はないものと解するのが相当である。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、灯火の必要がない午後6時25分ごろ、第一種原動機付自転車を運転して京都市内の道路を南進していた。道路は幅員約10メートルの一直線で見通しがよく、他に往来する車両はなかった。被告人は進路右側の小路に入るため、センターラインの若干左側を右折の合図をしながら時速約20キロメートルで進み、右折を始めた。その際、右後方を瞥見しただけで安全を十分確認しなかった。

右後方約15〜17.5メートルには、第二種原動機付自転車を時速約60〜70キロメートルで運転し、被告人を追い抜こうとしていたAがいた。被告人はAに気付かず右折し、センターラインを越えて斜めに約2メートル進んだ地点でA車と接触した。Aは転倒し、翌日死亡した。

原審は、右折直前に右後方を十分注意して見ていればA車を発見でき、右折を一時中止して事故を防止できたとして、業務上過失致死罪の成立を認めた。

争点

  • 右折を始めようとする原付運転者に、交通法規に違反して高速度でセンターラインの右側にはみ出して追い越そうとする後続車まで予想し、右後方の安全を確認すべき業務上の注意義務があるか(信頼の原則の適用)
  • 行為者自身にも交通法規違反(道路左端に寄らずに右折)がある場合に、そのことが注意義務の存否に影響するか

判旨

原判決を破棄し、被告人を無罪とした。

規範:車両の運転者は、互いに他の運転者が交通法規に従って適切な行動に出るであろうことを信頼して運転すべきものであり、注意義務を考えるにあたってはこの点を十分配慮しなければならない。

当てはめ:センターラインの若干左側から、右折の合図をしながら右折を始めようとする原付運転者は、後方から来る車両の運転者が交通法規を守り、速度を落として自車の右折を待つ等、安全な速度と方法で進行するであろうことを信頼して運転すれば足りる。あえて交通法規に違反し、高速度でセンターラインの右側にはみ出してまで追い越そうとする車両があることまで予想して、右後方の安全を確認する業務上の注意義務はない。

被告人自身の道路交通法34条3項違反(右折時に道路左端に寄らなかったこと)は、同法121条1項5号の罪を構成するが、上記注意義務の存否とは関係がない。

判決文から

「車両の運転者は、互に他の運転者が交通法規に従つて適切な行動に出るであろうことを信頼して運転すべきものであり、そのような信頼がなければ、一時といえども安心して運転をすることはできないものである。」

信頼の原則の一般的根拠を示す部分

「後方からくる他の車両の運転者が、交通法規を守り、速度をおとして自車の右折を待つて進行する等、安全な速度と方法で進行するであろうことを信頼して運転すれば足り」

本件での信頼の内容と注意義務の限定

「問題は、被告人に右のような注意義務があるかということである。」

結果回避可能性ではなく注意義務の存否を問題にした

「このことは、右注意義務の存否とは関係のないことである。」

行為者自身の法規違反が信頼の原則を排斥しない

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。