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相続放棄と登記

最判昭和42年1月20日

相続放棄の効力は絶対的で、登記がなくても誰に対しても生じる。放棄者の債権者がした持分の仮差押登記は無効である。

民法不動産登記と対抗要件相続物権総論・物権変動本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H25・司法H28・司法R1

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和41(オ)457 第三者異議
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第21巻1号16頁
参照法条
民法939条1項(昭和37年法律40号による改正前のもの),民法939条,民法177条,民法909条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

相続放棄と登記

裁判要旨

相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼつて相続開始がなかつたと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきであつて、相続の放棄をした相続人の債権者が、相続の放棄後に、相続財産たる未登記の不動産について、右相続人も共同相続したものとして、代位による所有権保存登記をしたうえ、持分に対する仮差押登記を経由しても、その仮差押登記は無効である。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

本件不動産はEの所有であった。昭和31年8月28日にEが死亡し、相続人は7名であった。そのうち上告人AとFを除く全員(Dを含む)が、同年10月29日に家庭裁判所へ相続放棄を申述し、同年11月20日に受理された。この相続放棄の旨の登記は昭和40年11月5日にされた。Fは同日、相続による持分を放棄し、同月10日にその旨の登記を経由した。こうして本件不動産はAの単独所有となった。

これより前の昭和39年12月25日(相続放棄の受理後、その登記前)、放棄者Dの債権者である被上告人らは、次の登記を経由した。

  • Dが他の相続人6名とともに本件不動産を共同相続したものとして、代位による所有権保存登記
  • そのうえで、Dの持分9分の1に対する仮差押登記

Aは第三者異議の訴えを提起し、仮差押登記の抹消登記手続を求めた。第一審・原審(名古屋高裁)はAの請求を認めなかった。最高裁は原判決を破棄し、第一審判決を取り消して、Aの請求を認容した。

争点

  • 相続放棄の遡及効(民法939条)は、放棄者の債権者などの第三者に対して登記なくして主張できるか(民法177条の適用の有無)
  • 放棄者も共同相続したものとしてされた代位による保存登記と、放棄者の持分に対する仮差押登記の効力

判旨

相続放棄の効力は登記なしに誰に対しても生じるので、放棄者の持分を前提とする仮差押登記は無効であり、抹消を命じた。

規範:相続人が民法915条所定の期間内に家庭裁判所へ放棄の申述(民法938条)をすると、相続人は相続開始時にさかのぼって相続開始がなかったのと同じ地位に置かれる。この効力は絶対的であり、何人に対しても、登記等なくして生じる。

あてはめ:

  • 放棄者Dも共同相続したものとしてされた代位による所有権保存登記は、実体に合わない無効のものである。
  • Dが持分9分の1を有することを前提とする仮差押は、その内容どおりの効力を生じる余地がない。
  • したがって仮差押登記は無効であり、単独所有者Aは登記なくしてこれを否定できる。

改正前939条1項(「放棄は、相続開始の時にさかのぼつてその効果を生ずる。」)は、放棄者との関係では、現行規定(初めから相続人とならなかったものとみなす)と同趣旨である。

判決文から

「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」

放棄の絶対効と登記不要を述べた規範部分

「民法が承認、放棄をなすべき期間(同法九一五条)を定めたのは、相続人に権利義務を無条件に承継することを強制しないこととして、相続人の利益を保護しようとしたものであり」

絶対効を導く根拠である相続人保護の趣旨

「本件不動産につきDが持分九分の一を有することを前提としてなした仮差押は、その内容どおりの効力を生ずる由なく」

放棄者の持分を前提とする執行の無効

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。