最判昭和41年9月8日
原告が自ら主張した自己に不利益な事実は、被告が援用しなくても裁判所が斟酌すべきとした(主張共通の原則)
出題:司法H22・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和38(オ)1227 土地所有権移転登記手続、家屋収去土地引渡請求
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第20巻7号1314頁
- 参照法条
- 民訴法186条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
当事者の主張した自己に不利益な事実で相手方の援用しないものが訴訟資料となるとされた事例
裁判要旨
所有権に基づき土地の明渡を求めた当事者が相手方に対しその土地の使用を許した事実を主張し、裁判所がこれを確定した場合には、相手方が右事実を自己の利益に援用しなかつたときでも、裁判所は、その当事者の請求の当否を判断するについてその事実をしんしやくすべきである。
解説
事案
X(被控訴人・被上告人)は、大正14年ごろ訴外Dから本件宅地を買い受けて所有権を取得したと主張し、所有権に基づいて、Y(控訴人・上告人)に対し家屋の収去と土地の明渡し等を求めた。Yは、相続または取得時効の完成によって本件宅地の所有権を取得したと主張し、自らも請求をしていた。
原審で、XはDからの買受けの事実に加えて、XがYに本件宅地の使用を許した事実も自ら主張した。Yは、この事実を自己の利益に援用しなかった。
原審は、XがDから本件宅地を買い受けて所有権を取得したこと、そしてXがYにその使用を許したことを認定した。そのうえで、Xの明渡等請求を認容した。Yが上告した。
争点
- 主張立証責任を負わない当事者(明渡しを求める原告)が自ら主張した自己に不利益な事実(被告の占有権原)を、相手方が援用していなくても、裁判所は判決の基礎とすることができるか
- その事実を斟酌しないまま原告の請求を認容した原審に審理不尽の違法があるか
判旨
原審判決のうちYに建物収去・敷地明渡しを命じた部分を破棄し、仙台高裁に差し戻した。その余の上告は棄却した。
規範:
- 所有権に基づく明渡請求において、XがYに土地の使用を許した事実は、本来Yが主張立証すべき事項である。
- それでも、X自身がこれを主張し、裁判所がその主張に基づいて事実を確定した以上、Yがその事実を自己の利益に援用しなかったとしても、裁判所は請求の当否を判断するにあたって、その事実を斟酌しなければならない。
帰結:
- 原審は、使用貸借が終了したか否かも審理判断したうえで、請求の当否を判断すべきであった。
- これをしなかった原審には審理不尽の違法がある。
- この違法は判決の結論に影響を及ぼすおそれが明らかである。
答案用の形:弁論主義の第1テーゼは裁判所と当事者の間の役割分担の問題であり、主要事実がいずれの当事者から主張されたかは問わない。一方当事者が主張した事実は、相手方の援用がなくても判決の基礎となる。
判決文から
「被控訴人が控訴人に対し本件宅地の使用を許したとの事実は、元来、控訴人の主張立証すべき事項である」
占有権原は被告側の主張立証事項と確認
「控訴人において被控訴人の右主張事実を自己の利益に援用しなかつたにせよ、原審は右本訴請求の当否を判断するについては、この事実を斟酌すべきであると解するのが相当である。」
主張共通の原則を示した核心部分
「原審はすべからく、右使用貸借が終了したか否かについても審理判断したうえ、右請求の当否を判断すべきであつたといわねばならない。」
斟酌の帰結として終了事由の審理が必要
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
