最判昭和41年9月22日
間接事実についての自白は、裁判所を拘束しないのはもちろん、自白した当事者も拘束しない(撤回は自由)とした判例
出題:予備H23・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和40(オ)574 貸金請求
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第20巻7号1392頁
- 参照法条
- 民訴法257条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
間接事実についての自白の拘束力
裁判要旨
いわゆる間接事実についての自白は、自白した当事者を拘束しない。
解説
事案
Xは、父Dが Y らに対して有していた30万円の貸金債権を相続により取得したとして、貸金の支払を求めた。これに対しYらは、Dが当該債権を訴外Eに譲渡したと抗弁した。その経緯として、DはEからE所有の本件建物を代金70万円で買い受け、代金決済の方法として本件債権をEに譲渡したと主張した。
Xは第一審でこの建物売買の事実を認めた。しかし控訴審で、その自白は真実に反し、かつ錯誤に基づくとして取り消すと主張した。Yらはこの取消しに異議を留めた。
原審は自白の取消しは許されないと判断した。そのうえで、自白によって建物売買の事実を確定し、これを資料として債権譲渡の事実を認定した。Xが上告し、最高裁は原判決を破棄して差し戻した。
争点
- 債権譲渡の抗弁において、その経緯である建物売買の事実は主要事実か間接事実か
- 間接事実についての自白は、裁判所および自白した当事者を拘束するか(自白の撤回の可否)
判旨
結論:破棄差戻し。
規範:間接事実についての自白は、裁判所を拘束しないのはもちろん、自白した当事者を拘束するものでもない。したがって、自白の撤回要件(反真実・錯誤、相手方の同意など)を問題にするまでもなく、自白した当事者はこれを撤回できる。
あてはめ:債権譲渡の抗弁の主要事実は「債権の譲渡」である。「本件建物の売買」は、その主要事実を認定する資料となりうる間接事実にすぎない。原審は自白の取消しを許さず、自白で売買の事実を確定し、それを資料に主要事実を認定した。これは、証拠資料たりえないものを事実認定に用いた違法にあたり、判決に影響を及ぼすことが明らかである。
判決文から
「かかる間接事実についての自白は、裁判所を拘束しないのはもちろん、自白した当事者を拘束するものでもないと解するのが相当である。」
裁判所拘束力・当事者拘束力の双方を否定した核心部分
「被上告人らの前記抗弁における主要事実は「債権の譲渡」であつて、前記自白にかかる「本件建物の売買」は、右主要事実認定の資料となりうべき、いわゆる間接事実にすぎない。」
主要事実と間接事実の区別のあてはめ
「原判決には、証拠資料たりえないものを事実認定の用に供した違法があり」
拘束力のない自白で事実を確定した原審の誤り
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