最判昭和41年7月28日
会社の過失で名義書換が未了なら、会社は書換未了を理由に譲渡を否認できず、譲受人を株主として扱わねばならない
出題:司法H24・予備H24
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和39(オ)48 株式引渡請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第20巻6号1251頁
- 参照法条
- 商法206条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
過失により株式譲受人の名義書換請求に応じない株式会社は当該株式の譲渡を否認することができるか。
裁判要旨
株式譲受人から株式会社に対し株式名義の書換の請求をした場合において、会社の過失により書換が行なわれなかつたときは、会社は、株式名義の書換のないことを理由として、株式の譲渡を否認することができない。
解説
事案
Y社は昭和34年12月2日の取締役会で新株発行を決議した。内容は、昭和35年2月29日午後5時現在の株主名簿上の株主に1株につき新株2株を割り当てること、申込期間は4月25日〜5月10日、払込期日は5月21日、申込証拠金は1株50円とすることである。
株主Xは、この基準日より前の1月28日に、旧株式500株をDに譲渡した。Dは2月16日にY社へ名義書換を請求したが、Y社の過失により書換はされなかった。そのため基準日当時もXが500株の株主として名簿に記載されたままだった。
Y社は4月25日、Xに新株1,000株の割当通知をし、Xは申込みをして証拠金5万円を払い込んだ。Xは、基準日に株主であったことを前提に新株式の交付(引渡し)を求めて提訴した。原審は請求を棄却し、Xが上告した。
争点
- 譲受人の名義書換請求があったのに会社の過失で書換がされなかった場合、会社は書換未了を理由に株式譲渡を否認できるか
- その場合、会社は株主名簿上の譲渡人を株主として扱うことができるか(基準日株主として新株引受権を与えられるか)
判旨
上告棄却。
規範
- 正当の事由なく名義書換請求を拒絶した会社は、書換のないことを理由に株式の譲渡を否認できない(大判昭和3年7月6日を参照)。
- この場合、会社は株式譲受人を株主として取り扱わなければならず、株主名簿上の譲渡人を株主として取り扱うことはできない。
- この理は、譲受人の名義書換請求があったのに会社が過失により書換をしなかった場合も同様である。
あてはめ
- Dは基準日前に適法に名義書換を請求したが、Y社は過失で書換をしなかった。よってY社はDを株主として扱う必要があり、譲渡人Xを株主として扱うことはできない。
- Xを基準日株主とする新株交付請求は認められない。
- Y社がXにした新株割当通知も、Xがした引受申込みも、引受権のない者に対する/による行為であり、いずれも無効である。
判決文から
「正当の事由なくして株式の名義書換請求を拒絶した会社は、その書換のないことを理由としてその譲渡を否認し得ないのであり」
不当拒絶の場合の基本規範(大審院判例の確認)
「会社は株式譲受人を株主として取り扱うことを要し、株主名簿上に株主として記載されている譲渡人を株主として取り扱うことを得ない。」
譲受人を株主扱いする義務と、譲渡人扱いの禁止
「この理は会社が過失により株式譲受人から名義書換請求があつたのにかかわらず、その書換をしなかつたときにおいても、同様であると解すべきである。」
不当拒絶の法理を過失による書換未了に拡張
「所論引用の判例は株式譲受人が会社に対して名義書換請求をすることを失念したいわゆる失念株に関するものであって、本件と事案を全く異にする。」
譲受人側の請求懈怠(失念株)とは区別
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