最大判昭和41年7月13日
余罪を実質上処罰する趣旨で量刑資料とすることは許されないが、情状推知の資料として考慮することは許されるとした大法廷判決
出題:司法H25・予備H25
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和40(あ)878 窃盗
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第20巻6号609頁
- 参照法条
- 憲法31条,憲法38条3項,憲法39条,刑訴法317条,刑訴法319条2項,刑訴法319条3項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
起訴されていない犯罪事実を量刑の資料として考慮することと憲法第三一条第三九条
裁判要旨
起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮することは許されないが、単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等の情状を推知するための資料としてこれを考慮することは、憲法第三一条、第三九条に違反しない。
解説
事案
被告人は窃盗の罪で起訴され、有罪とされた。検察官は控訴し、その控訴趣意の中で余罪について主張した。控訴審(東京高裁)は、量刑の理由の中で「被告人が本件以前にも約六ケ月間多数回にわたり同様な犯行をかさね、それによつて得た金員を飲酒、小使銭、生活費等に使用したことを考慮すれば」と判示した。この余罪については公訴が提起されていなかった。記録上、余罪の中には被告人の自供だけで認定されたものもあった(個別意見の指摘)。
弁護人は上告し、次のように主張した。
- 起訴されていない余罪を量刑で考慮して重く処罰することは、憲法31条・39条等に違反する。
- 原審の量刑は不当である。
争点
- 起訴されていない犯罪事実(余罪)を量刑の資料として考慮することは許されるか(憲法31条・38条3項・39条、刑訴法317条・319条2項3項との関係)
- 許される余罪考慮と許されない余罪考慮をどう区別するか
- 原判決の余罪への言及は、実質上の処罰にあたるか、情状推知にとどまるか
判旨
上告棄却。
規範
- 起訴された犯罪事実のほかに、起訴されていない犯罪事実を余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮し、被告人を重く処罰することは許されない。
- 他方、量刑は被告人の性格、経歴、犯罪の動機・目的・方法等すべての事情を考慮して、法定刑の範囲内で決定すべきものである。そのため、量刑の一情状として余罪を考慮すること自体は禁じられない。この場合は余罪を処罰するものではないから、公訴の提起も必要としない。
- ただし、考慮の程度は事案ごとに合理的に検討して必要な限度にとどめるべきである。その点の証拠調べも必要な限度を超えてはならない。事実審裁判所は両者を混淆しないよう慎重に留意すべきである。
あてはめ
原判決は、余罪の回数・金額を具体的に判示していない。他方で、犯罪の成否に関係のない金員の使途を比較的詳細に判示している。前後の判文と併せて読むと、起訴にかかる窃盗の動機・目的・被告人の性格等を推知する一情状として考慮したものと解される。したがって違憲の主張は前提を欠く。
判決文から
「起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮し、これがため被告人を重く処罰することは許されないものと解すべきである。」
許されない余罪考慮の規範
「その量刑のための一情状として、いわゆる余罪をも考慮することは、必ずしも禁ぜられるところではない」
情状としての余罪考慮は許容
「余罪を単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等の情状を推知するための資料として考慮することは、犯罪事実として認定し、これを処罰する趣旨で刑を重くするのとは異なる」
許される考慮と許されない考慮の区別基準
「さらにその余罪が後日起訴されないという保障は法律上ないのであるから」
憲法39条違反のおそれの根拠
「これを考慮する程度は、個々の事案ごとに合理的に検討して必要な限度にとどめるべきであり」
許容される場合にも限度がある
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
