最判昭和41年6月9日
即時取得(民法192条)の無過失は188条により推定され、占有取得者は自ら無過失を立証する必要がないとした判例
民法その他の担保物権占有権・所有権・共有物権総論・物権変動本試験で 3 問(短答 3・論文 0)
出題:司法H27・司法H28・予備H27
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和39(オ)550 船舶引渡請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第20巻5号1011頁
- 参照法条
- 民法192条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
民法第一九二条にいう「過失ナキ」ことの立証責任
裁判要旨
民法第一九二条により動産の上に行使する権利を取得したことを主張する占有者は、同条にいう「過失ナキ」ことを立証する責任を負わない。
解説
事案
総トン数20トン未満の不登記船舶をめぐる船舶引渡請求事件である。
- 訴外Dはこの船舶を競売で競落した。しかし競売手続に瑕疵があったため、Dは船舶の所有権を取得していなかった。
- 被上告人Bは、そのDから船舶を買い受けた。
- 原審(札幌高裁函館支部)は、船舶が不登記船舶であると認定し、民法192条によりBの所有権取得を認めた。
- 上告人は、原判決が192条の「無過失」の解釈を誤ったとして上告した。
最高裁は、本件船舶が不登記船舶であるとの原審認定を是認した。そのうえで、無過失の立証責任を判断した。
争点
- 民法192条の「過失なきとき」の意味
- 即時取得を主張する占有取得者が、自ら無過失を立証する責任を負うか
- 瑕疵ある競売手続で競落した者からの譲受人に過失が認められるか
判旨
上告棄却。
- 「過失なきとき」の意味:譲渡人である占有者が権利者らしい外観を有しているため、譲受人がその外観に対応する権利が譲渡人にあると誤信し、かつそう信じたことに過失がないことをいう。
- 規範:占有者が占有物の上に行使する権利は適法に有するものと推定される(民法188条)。そのため、前主を権利者と信じた譲受人(占有取得者)は過失がないものと推定される。占有取得者自身が無過失を立証する必要はない。
- 先例変更:これに反する大審院判例(民録14輯876頁)を変更した。
- あてはめ:執行吏による船舶の競売手続があれば、所有権が競落人に移転すると信じるのが通常である。したがって、Dから買い受けたBが、Dの無権利を知らなかったことに過失は認められない。原判決の「無過失であった」という言い回しは必ずしも妥当でないが、結論は正当である。
判決文から
「物の譲渡人である占有者が権利者たる外観を有しているため、その譲受人が譲渡人にこの外観に対応する権利があるものと誤信し、かつこのように信ずるについて過失のないことを意味する」
192条の「無過失」の定義
「譲受人たる占有取得者が右のように信ずるについては過失のないものと推定され、占有取得者自身において過失のないことを立証することを要しないものと解すべきである。」
無過失推定と立証責任の所在を示す核心部分
「このように解することは、動産流通の保護に適合する所以であり」
結論の実質的根拠(動産取引の安全)
「執行吏によつて船舶の競売手続がなされるような場合、船舶の所有権が競落人に移転するものと信ずるのは通常である」
本件で過失を否定したあてはめ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
