最判昭和41年3月24日
公務員の手足として職務執行に密接不可分に関与する補助者への暴行脅迫も、刑法95条1項の暴行脅迫にあたるとした判例
出題:司法H25・司法H28・予備H25
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和40(あ)2109 公務執行妨害、傷害
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第20巻3号129頁
- 参照法条
- 執行吏執行等手続規則14条,刑法95条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 執行吏が債権者たる会社の職員を補助者に使用することは執行吏執行等手続規則第一四条に違反するか 二 刑法第九五条第一項にいう暴行脅迫の程度およびその客体。
裁判要旨
一 執行吏が債権者たる会社の職員を補助者に使用することは、執行吏執行等手続規則第一四条に違反するとはいえない。 二 刑法第九五条第一項に規定する公務執行妨害罪の成立には、公務員が職務の執行をなすに当り、その職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫がなされることを要するけれども、その暴行脅迫は、必ずしも直接に当該公務員自身に対して加えられることを要せず当該公務員の指揮に従いその手足となり、その職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされるものでもよい。
解説
事案
執行吏Bが被告人方で執行行為をした。その際、Bは債権者であるA株式会社の職員Cを補助者として使っていた。
Cは公務員ではないが、Bの命令と指示に従い、被告人方の家財道具を屋外に運び出していた。被告人は、この搬出中のCに暴行脅迫を加えた。Bは被告人方の出入口や戸外で執行を指揮していたが、この暴行脅迫のため一時執行を中止せざるを得なくなった。
被告人は公務執行妨害罪と傷害罪で起訴され、原審(福岡高裁)は公務執行妨害罪の成立を認めた。弁護人は次の2点を争って上告した。
- 債権者の職員を補助者に使ったことは執行吏執行等手続規則14条に違反し、執行は違法である。
- 暴行脅迫は公務員自身に向けられていない。
争点
- 執行吏が債権者たる会社の職員を補助者として使用することは、執行吏執行等手続規則14条に違反するか(職務の適法性)
- 刑法95条1項の暴行脅迫は公務員自身に直接加えられることを要するか。公務員の補助者に対する暴行脅迫でも足りるか
判旨
上告棄却。公務執行妨害罪の成立を認めた原審の判断を正当とした。
- 職務の適法性:執行吏の補助者は執行吏の手足に相当する機関として執行に関与するにすぎず、立会証人(同規則15条)のような任務を持たない。事件に無関係な者が望ましいとはいえ、債権者たる会社の職員を同規則14条の補助者として使っても違法ではない。
- 暴行脅迫の程度と客体:刑法95条1項の罪が成立するには、職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫が必要である。ただしその暴行脅迫は、必ずしも公務員の身体に直接加えられる必要はない。公務員の指揮に従いその手足となり、その職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対するものでも、これにあたる。
- 当てはめ:本件の暴行脅迫は公務員である執行吏に直接向けられたものではないが、執行吏の職務の執行を妨害する暴行脅迫にあたる。
判決文から
「刑法九五条一項に規定する公務執行妨害罪の成立には、公務員が職務の執行をなすに当り、その職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫がなされることを要するけれども」
暴行脅迫の程度は「妨害するに足りる」ものを要する
「その暴行脅迫は、必しも直接に当該公務員の身体に対して加えられる場合に限らず、当該公務員の指揮に従いその手足となりその職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされた場合もこれに該当すると解するを相当とする。」
補助者に対する暴行脅迫でも足りるとする規範部分
「もともと執行吏の補助者は当該執行吏のいわば手足に相当する機関として執行行為に関与するものであつて」
補助者を公務員の手足とみる発想が両論点の基礎
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
