最判昭和41年11月25日
入会権確認の訴えは、共有の性質の有無を問わず、入会権者全員で提起すべき固有必要的共同訴訟であるとした判例
出題:司法H24・予備H29・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和34(オ)650 所有権移転登記手続請求
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第20巻9号1921頁
- 参照法条
- 民法263条,民法294条,民訴法62条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
入会権確認の訴は固有必要的共同訴訟か
裁判要旨
入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
解説
事案
a部落の部落民の一部である上告人らが、本件土地について被上告人名義の所有権取得登記があるとして、被上告人を相手に訴えを提起した。請求は次の5つである。
- 第一次請求:時効により本件土地の共有権を取得したとして、各自持分330分の1の移転登記を求める。
- 第二次請求:本件土地を上告人らが総有するとして、被上告人の所有権取得登記の抹消を求める。
- 第三次請求:本件土地が又重財産区の所有に属するとして、同じく抹消を求める。
- 第四・五次請求:原審での訴えの変更により追加したもの。共有の性質を有する入会権の確認を求め、それが理由がないときは共有の性質を有しない入会権の確認を求める。
第一審・原審はいずれも本案の判断をした。上告人らが上告したところ、最高裁は職権で当事者適格を調査した。その際、本件の請求が入会権者と主張される部落民全員ではなく、その一部によって提起されていることが弁論の全趣旨から明らかであった。
争点
- 入会権確認の訴えは固有必要的共同訴訟か(入会権が共有の性質を有するか否かで異なるか)
- 総有を請求原因とする登記抹消請求を部落民の一部が提起できるか
- 財産区の所有を請求原因とする登記抹消請求について部落民に当事者適格があるか
- 部落民の団体的占有によって民法上の共有権を時効取得できるか
判旨
規範:入会権は権利者である一定の部落民に総有的に帰属する。したがって、入会権の確認を求める訴えは、権利者全員が共同してのみ提起しうる固有必要的共同訴訟である。この理は、入会権が共有の性質を有するもの(民法263条)か、有しないもの(民法294条)かで異ならない。
あてはめと結論:
- 第四・五次請求(入会権確認):部落民の一部による提起であり、当事者適格を欠き不適法である。
- 第二次請求(総有を原因とする登記抹消):同様に不適法である。
- 第三次請求(財産区所有を原因とする登記抹消):正当な原告は又重財産区であり、上告人らは当事者適格を欠き不適法である。
- 以上の第二〜五次請求については、本案判断をした第一・二審判決を破棄し、訴えを却下した。
- 第一次請求(共有権の時効取得):主張自体失当として上告を棄却した。
判決文から
「入会権は権利者である一定の部落民に総有的に帰属するものであるから、入会権の確認を求める訴は、権利者全員が共同してのみ提起しうる固有必要的共同訴訟というべきである」
総有という実体法の性質から固有必要的共同訴訟を導く核心部分
「この理は、入会権が共有の性質を有するものであると、共有の性質を有しないものであるとで異なるとこるがない。」
民法263条型か294条型かを問わないことを明示
「本請求の正当な原告は又重財産区であつて、上告人らは当事者適格を有しないものというべきである。」
財産区所有を主張する請求は財産区が原告となる
「このような団体的占有によつて個人的色彩の強い民法上の共有権が時効取得されるとは認めらないから、本請求は、その主張自体失当であるというべきである。」
団体的占有から個人的共有権は時効取得できない
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