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全逓東京中郵事件

最大判昭和41年10月26日

公労法17条1項を合憲としつつ、労働基本権制限の四基準を示し、公労法違反の争議行為にも労組法1条2項の刑事免責を認めた判例

憲法社会権(生存権・教育・労働)本試験で 5 問(短答 5・論文 0)

出題:司法H28・司法R5・司法R7・司法R8・予備H28

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
昭和39(あ)296 郵便法違反教唆
裁判
判決・破棄差戻
判例集
刑集 第20巻8号901頁
参照法条
(一、二につき)公共企業体等労働関係法17条1項,(二につき)公共企業体等労働関係法3条,(一につき)憲法11条,(一につき)憲法14条,(一につき)憲法18条,(一につき)憲法25条,(一につき)憲法28条,(一につき)憲法31条,(一につき)憲法98条,(二につき)労働組合法1条,(二につき)郵便法79条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項の合憲性 二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項違反の争議行為と労働組合法第一条第二項の適用

裁判要旨

一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項は、憲法第一一条、第一四条、第一八条、第二五条、第二八条、第三一条、第九八条に違反しない。 二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項に違反してなされた争議行為にも、労働組合法第一条第二項の適用がある。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

郵政職員は、公共企業体等労働関係法(公労法)17条1項によって争議行為を禁止されている。被告人らは、郵政職員Aら38名に対し、争議行為として郵便物の取扱いをしないことなどをそそのかしたとして、郵便法違反の教唆で起訴された。

第一審は、Aらの行為を郵便法79条1項前段(郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をしないこと等を処罰する規定)の構成要件に該当すると認定した。

原審(東京高裁)は、最判昭和38年3月15日(第二小法廷)に従い、次のように判断した。公共企業体等の職員は公労法17条1項によって争議権自体を否定されているから、その争議行為について正当性の限界を論ずる余地はなく、労組法1条2項(刑事免責)の適用もない。

被告人らは上告し、公労法17条1項が憲法28条等に違反すること、同項違反の争議行為にも労組法1条2項が適用されるべきことを主張した。

争点

  • 公労法17条1項による争議行為の禁止は憲法28条(および11条・14条・18条・25条・31条・98条)に違反するか
  • 労働基本権の制限が合憲とされるための判断基準は何か
  • 公労法17条1項に違反してなされた争議行為に、労組法1条2項(刑法35条の適用)による刑事免責がありうるか
  • 郵便法79条1項の罰則は、争議行為として行われた郵便取扱いの拒否にも適用されるか

判旨

結論:公労法17条1項は合憲である。同項に違反する争議行為にも労組法1条2項の適用がある。原判決を破棄し、差し戻した。

主体:公務員・公共企業体職員も憲法28条の「勤労者」であり、原則として労働基本権の保障を受ける。

制約の性質:労働基本権は、国民生活全体の利益の保障という見地からの制約を、内在的制約として内包している。

合憲性の判断基準(四基準)

  • (1) 制限は、労働基本権を尊重確保する必要と国民生活全体の利益を維持増進する必要とを比較衡量して決める。そのうえで、合理性の認められる必要最小限度にとどめなければならない。
  • (2) 制限は、職務・業務の公共性が強く、その停廃が国民生活に重大な障害をもたらすおそれがある場合に、それを避けるため必要やむを得ない場合に限って考慮される。
  • (3) 違反に対する不利益は必要な限度をこえてはならない。刑事制裁は必要やむを得ない場合に限られ、単純な不作為(罷業・怠業)の処罰には特別に慎重でなければならない。
  • (4) 制限がやむを得ない場合には、これに見合う代償措置が必要である。

刑事免責の範囲:争議行為が労組法1条1項の目的のためであり、暴力の行使その他の不当性を伴わない単なる罷業・怠業にとどまる場合は、刑事制裁の対象とならない。郵便法79条1項も適用されない。他方、次の場合は正当性の限界をこえ、刑事制裁を免れない。

  • 政治的目的による場合
  • 暴力を伴う場合
  • 社会通念上不当に長期に及び、国民生活に重大な障害をもたらす場合

判決文から

「公共企業体の職員はもとよりのこと、国家公務員やを地方公務員も、憲法二八条にいう勤労者にほかならない以上、原則的には、その保障を受けるべきものと解される。」

公務員も憲法28条の勤労者だと明言した部分

「「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことは許されない。」

全体の奉仕者論だけで全面否定はできない

「労働基本権が勤労者の生存権に直結し、それを保障するための重要な手段である点を考慮すれば、その制限は、合理性の認められる必要最小限度のものにとどめなければならない。」

四基準の第一。必要最小限度の定式

「同盟罷業、怠業のような単純な不作為を刑罰の対象とするについては、特別に慎重でなければならない。」

刑事制裁の謙抑性(四基準の第三)

「職務または業務の性質上からして、労働基本権を制限することがやむを得ない場合には、これに見合う代償措置が講ぜられなければならない。」

四基準の第四。代償措置の要求

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。