最判昭和40年9月22日
取締役会決議を欠く代表取締役の対外的取引は原則有効で、相手方が悪意・有過失のときに限り無効とした判例
出題:司法H26・司法H27・司法R3・予備H26・予備R4・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和36(オ)1378 建物並びに土地明渡所有権確認等請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第19巻6号1656頁
- 参照法条
- 商法260条,商法261条,商法78条1項,民法93条,中小企業等協同組合法33条,中小企業等協同組合法36条の2,中小企業等協同組合法42条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないでした対外的な個々的取引行為の効力。 二 中小企業等協同組合が代表理事に対し委任できる業務執行の意思決定の権限の範囲。
裁判要旨
一 株式会社の代表取締役が、取締役会の決議を経てすることを要する対外的な個々取引行為を、右決議を経ないでした場合でも、右取引行為は、相手方において右決議を経ていないことを知りまたは知ることができたときでないかぎり、有効である。 二 中小企業等協同組合は、法令がとくに理事会の決議事項であると定めたものを除いて、理事会に属する業務執行の意思決定の権限を、定款で、代表理事に委任することができる。
解説
事案
上告会社の代表取締役が、会社の物件(土地・建物)を被上告組合(中小企業等協同組合)に売却した。この売却は上告会社にとって重要事項であり、取締役会の決議を経る必要があったが、決議は経ていなかった。原審は、買主である被上告組合が決議の欠缺を知り、または知り得べかりし事実は全証拠によっても認められないと認定した。
一方、買主側の被上告組合でも、売買契約の締結について理事会の決議を経ていなかった。原審は、組合の定款が、法令・定款で特に理事会の決議事項とされたものを除き、業務執行に関する内部的意思決定を代表理事に委任していると認定した。そのうえで、本件売買は代表理事に委任された事項であるから無効ではないと判断した。
上告会社は、売買の無効などを主張して上告した。
争点
- 代表取締役が取締役会決議を経ずにした対外的な個々的取引行為の効力
- 中小企業等協同組合が理事会の業務執行の意思決定権限を定款で代表理事に委任できるか、その範囲
判旨
上告棄却。
- 取締役会決議を欠く取引の効力:代表取締役が、取締役会の決議を経るべき対外的な個々的取引行為を決議なしにした場合でも、その取引は内部的意思決定を欠くにとどまる。したがって原則として有効であり、相手方が決議を経ていないことを知り、または知り得べかりしときに限り無効となる。
- 本件へのあてはめ:買主の悪意・有過失は認められないから、売買は有効である。
- 協同組合の権限委任:中小企業等協同組合の業務執行に関する内部的意思決定は、法令・定款・規約で総会・総代会の権限とされたものを除き、理事会に属する。ただし、法令が特に理事会で決議すべきと定めた事項を除き、定款によって代表理事に委任できる。
答案上の規範は「取締役会決議を欠く代表取締役の取引は、内部的意思決定を欠くにとどまるから原則有効だが、相手方が決議の不存在につき悪意または有過失であれば無効」である。
判決文から
「代表取締役が、取締役会の決議を経てすることを要する対外的な個々的取引行為を、右決議を経ないでした場合でも、右取引行為は、内部的意思決定を欠くに止まるから、原則として有効であつて、」
原則有効とする根拠「内部的意思決定の欠缺」
「ただ、相手方が右決議を経ていないことを知りまたは知り得べかりしときに限つて、無効である、と解するのが相当である。」
例外:相手方の悪意・有過失で無効
「代表取締役は、株式会社の業務に関し一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する点にかんがみれば」
包括的代表権を原則有効の根拠とする
「中小企業等協同組合は、理事会に属する右権限のうち、法令が特に理事会において決議すべき事項であると定めたものを除いては、定款をもつて、代表理事に委任することができる」
協同組合の定款による権限委任の範囲
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
