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最判昭和40年5月4日

借地上の建物に設定された抵当権の効力は敷地賃借権に及び、競落人に移転する。旧所有者は地主に代位して明渡しを請求できない

民法抵当権占有権・所有権・共有その他の担保物権本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法R1・司法R7・予備H26・予備R7

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和39(オ)1033 建物収去土地明渡請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第19巻4号811頁
参照法条
民法370条,民法87条2項,民法423条,民法612条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 土地貸借人が該地上の建物に設定した抵当権の効力は当該土地の賃借権に及ぶか。 二 地上建物に抵当権を設定した土地賃借人は抵当建物の競落人に対し地主に代位して当該土地の明渡を請求できるか。

裁判要旨

一 土地賃借人が該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。 二 前項の場合には、賃借人は、賃貸人において右賃借権の移転を承諾しないときであつても、競落人に対し、土地所有者たる賃貸人に代位して右土地の明渡を請求することはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

土地を借りていた者(上告人)が、その土地の上に自分の建物を所有し、この建物に抵当権を設定した。その後、抵当権が実行され、被上告人が建物を競落して所有権を取得した。

従前の建物所有者である上告人は、賃貸人である土地所有者が賃借権の移転を承諾していないとして、土地所有者に代位して(民法423条)、競落人に対し建物収去・土地明渡しを請求した。

原審(札幌高裁函館支部)は請求を認めなかった。原審は、その理由の一つとして、択一的に転貸関係が生じたとも推定していた。上告人は上告し、次のように主張した。

  • 取毀しを前提とする価格で競落されたなどの特段の事情は、競落人が立証すべきである。
  • 競落人が賃借権を取得するとしても、地主の承諾が条件である。
  • 自分は、競落人が取得した賃借権とは別の賃借権を取得した。

争点

  • 土地賃借人が地上建物に設定した抵当権の効力は、敷地の賃借権に及ぶか(民法370条、87条2項)
  • 賃貸人が賃借権の移転を承諾しない場合、従前の建物所有者は地主に代位して競落人に土地明渡しを請求できるか(民法423条、612条)
  • 「特段の事情」の主張立証責任は誰が負うか

判旨

上告棄却。

  • 規範(効力の範囲):土地賃借人が所有する地上建物の抵当権が実行され、競落人が建物所有権を取得した場合、従前の建物所有者との関係では、建物が取毀しを前提とする価格で競落された等の特段の事情がない限り、建物の所有に必要な敷地の賃借権も競落人に移転する。賃貸人(土地所有者)に対抗できるかという民法612条の問題は、これとは別に扱う。
  • 代位請求の可否:賃貸人が賃借権の移転を承諾しなくても、すでに賃借権を競落人に移転した従前の建物所有者は、土地所有者に代位して競落人に敷地の明渡しを請求できない。
  • 立証責任:特段の事情の主張立証責任は、従前の建物所有者が負う。

判決文から

「右建物が取毀しを前提とする価格で競落された等特段の事情がないかぎり、右建物の所有に必要な敷地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である」

原則と例外(特段の事情)を示す規範部分

「建物を所有するために必要な敷地の賃借権は、右建物所有権に付随し、これと一体となつて一の財産的価値を形成しているものである」

賃借権を「従たる権利」とみる理由づけ

「建物に抵当権が設定されたときは敷地の賃借権も原則としてその効力の及ぶ目的物に包含されるものと解すべきである」

抵当権の効力が賃借権に及ぶという結論

「賃貸人たる土地所有者が右賃借権の移転を承諾しないとしても、すでに賃借権を競落人に移転した従前の建物所有者は、土地所有者に代位して競落人に対する敷地の明渡しを請求することができないものといわなければならない」

地主の承諾がなくても代位請求はできない

「かかる特段の事情を主張立証すべき責任は、従前の建物所有者たる上告人に存するものというべく」

特段の事情の立証責任は旧建物所有者にある

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。