最判昭和40年3月26日
書面によらない不動産贈与は、所有権移転登記がされれば引渡しの有無を問わず「履行が終わった」とされ、解除できない
出題:司法H22・司法H25・司法R3・予備H25
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和39(オ)370 所有権移転登記抹消請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第19巻2号526頁
- 参照法条
- 民法550条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
不動産の贈与契約に基づく所有権移転登記と贈与の履行の終了。
裁判要旨
不動産の贈与契約にもとづいて該不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡の有無をとわず、民法第五五〇条にいう履行が終つたものと解すべきである。
解説
事案
- 上告人(贈与者)は、本件建物を被上告人(受贈者)に贈与すると約束した。
- 同時に、当事者間の合意で、登記は売買の形式をとることにした。この合意に基づいて所有権移転登記の手続がされた。
- その後、上告人は被上告人に対し、この所有権移転登記の抹消を求めて訴えた。
- 争いになったのは、贈与の履行が終わっているかどうかである。終わっていなければ、民法550条により贈与者が贈与から離脱できる。
- 原審(東京高裁)は、登記の経由によって本件贈与はその履行を終えたと判断した。上告人がこれを争って上告した。
争点
- 不動産の贈与契約で所有権移転登記がされた場合、引渡しがなくても民法550条ただし書の「履行が終わった」にあたるか
- 当事者の合意で登記原因を形式上「売買」とした登記でも、履行完了の効果を生じるか
判旨
上告棄却(裁判官全員一致)。
規範:不動産の贈与契約で目的不動産の所有権移転登記が経由されたときは、引渡しの有無を問わず、贈与の履行は終わったものと解すべきである。したがって贈与者は、民法550条によって贈与から離脱(現行法では解除)することはできない。
登記原因の点:当事者間の合意で移転登記の原因を形式上売買契約としても、その登記は実体上の権利関係に合致しており、無効とはいえない。そのため、履行完了の効果が生じることの妨げにはならない。
本件へのあてはめ:建物の贈与を約束し、合意によって売買形式で登記手続を経由した以上、本件贈与はその履行を終えた。この旨の原審の判断は正当である。
判決文から
「不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきであり」
登記があれば引渡し不要で履行終了とする規範
「右登記は実体上の権利関係に符合し無効ということはできないから、前記履行完了の効果を生ずるについての妨げとなるものではない。」
登記原因を売買と仮装しても履行終了を妨げない
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