最判昭和39年9月25日
不法行為で死亡した被害者の相続人が受け取った生命保険金は、損害賠償額から控除しない(損益相殺の対象外)とした判例
民法債務不履行・損害賠償不法行為本試験で 2 問(短答 2・論文 0)
出題:司法H23・司法R1
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和39(オ)328 損害賠償請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第18巻7号1528頁
- 参照法条
- 民法709条,商法673条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
不法行為による死亡に基づく損害賠償額から生命保険金を控除することの適否。
裁判要旨
生命保険金は、不法行為による死亡に基づく損害賠償額から控除すべきでない。
解説
事案
不法行為による事故で被害者Dが死亡した。Dの相続人である被上告人両名は、加害者側(上告人)に損害賠償を請求した。被上告人らは、Dを被保険者とする生命保険契約に基づき、保険金の給付を受けていた。
原審(札幌高裁函館支部)は、次のように判断した。
- Dにも過失があるとして過失相殺をし、損害額を約三分の二に減じた。
- 損害額の算定にあたって、生命保険金は控除しなかった。
上告人は、二点を理由に上告した。
- 第一点:過失相殺でしんしゃくした過失の度合いについて、理由の記載が足りない。
- 第二点:生命保険金を損害賠償額から控除すべきである。
争点
- 不法行為による死亡で相続人が受け取った生命保険金を、損害賠償額から控除すべきか(損益相殺の可否)
- 過失相殺をする際、裁判所はしんしゃくした過失の度合いについて一々理由を記載する必要があるか
判旨
上告棄却。
生命保険金について
- 規範:生命保険契約に基づく保険金は、既に払い込んだ保険料の対価の性質を持つ。また、もともと不法行為の原因とは関係なく支払われるべきものである。
- 結論:たまたま不法行為で被保険者が死亡し、その相続人に保険金が支払われたとしても、これを不法行為による損害賠償額から控除すべきではない。
過失相殺について
- 裁判所は、具体的な事案について、公平の観念に基づき諸般の事情を考慮し、自由な裁量で被害者の過失をしんしゃくして損害額を定めればよい。
- しんしゃくした過失の度合いについて、一々理由を記載する必要はない。
判決文から
「生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払わるべきものであるから」
非控除の理由=保険料の対価・不法行為と無関係
「これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはないと解するのが相当である。」
損益相殺を否定した結論部分
「所論のごとくしんしやくすべき過失の度合につき一々その理由を記載する必要がないと解するのが相当である。」
過失相殺の割合に理由の逐一記載は不要
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