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最判昭和39年1月28日

法人の名誉権が侵害されて生じた無形の損害も、金銭評価が可能なかぎり民法710条により賠償請求できるとした判例

民法民法総則(権利能力・行為能力)生命・身体に対する罪不法行為本試験で 6 問(短答 6・論文 0)

出題:司法H28・司法H30・司法R5・司法R6・予備H30・予備R6

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和34(オ)901 謝罪広告並びに慰藉料請求
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第18巻1号136頁
参照法条
民法710条,民法723条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

民法第七一〇条は法人の名誉権侵害による無形の損害に適用があるか。

裁判要旨

法人の名誉権が侵害され、無形の損害が生じた場合でも、右損害の金銭評価が可能であるかぎり、民法第七一〇条の適用がある。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

医療を目的とする法人である上告人(原告)が、被上告人(被告)の行為によって名誉を毀損されたとして、謝罪広告と金員の支払を求めた。金員請求は、財産上の損害ではなく、いわゆる無形の損害の賠償を求めるものであった。

原審(東京高裁)は、被上告人の行為により上告人の名誉が毀損されたことは認めた。しかし、次のように判断して金員請求を棄却した。

  • 民法710条の「財産以外の損害」は精神上の苦痛を意味し、その賠償が慰藉料である。
  • 法人には精神上の苦痛を考えることができない。
  • したがって、法人が名誉毀損について金銭賠償を求められるのは財産上の損害に限られ、無形の損害については金銭賠償を請求できない。

上告人が上告した。最高裁は、原判決のうち金員請求を棄却した部分などを破棄し、東京高裁に差し戻した。

争点

  • 民法710条の「財産以外の損害」は精神上の苦痛に限られるか
  • 法人の名誉権が侵害された場合に、無形の損害について金銭賠償を請求できるか
  • 民法723条(名誉回復処分)が定められていることを理由に、法人の金銭賠償を否定できるか

判旨

結論:法人の名誉権が侵害されて無形の損害が生じた場合でも、その損害の金銭評価が可能であるかぎり、民法710条の適用がある。原判決を破棄し、差し戻した。

規範

  • 民法710条は損害の内容を限定していない。慰藉料で和らげられる精神上の苦痛だけでなく、すべての無形の損害を含む。
  • 無形の損害も、侵害行為の程度、加害者・被害者の年齢・資産・社会的環境など各般の事情を斟酌すれば、金銭評価が可能である。
  • 法人の名誉権侵害でも、金銭評価が可能な無形の損害が生じることは必ずしも絶無ではない。その損害を加害者に金銭で賠償させることは、社会観念上至当である。
  • 民法723条に名誉回復処分という特別の救済方法があることを理由に、金銭賠償を否定することはできない。

判決文から

「民法七一〇条は、財産以外の損害に対しても、其賠償を為すことを要すと規定するだけで、その損害の内容を限定してはいない。」

710条を文言から読み、精神的苦痛に限定しない出発点

「むしろすべての無形の損害を意味するものと読みとるべきである。」

「財産以外の損害」=無形損害全般とする核心

「侵害行為の程度、加害者、被害者の年令資産その社会的環境等各般の情況を斟酌して右金銭の評価は可能である。」

無形損害の金銭評価の考慮要素

「そもそも、民事責任の眼目とするところは損害の填補である。」

被害者が自然人か法人かを問わない根拠

「法人の名誉権侵害の場合は金銭評価の可能な無形の損害の発生すること必ずしも絶無ではなく、そのような損害は加害者をして金銭でもつて賠償させるのを社会観念上至当とすべきであり」

結論部分の規範で、答案に書ける形

「民法七二三条に被害者救済の格段な方法が規定されているとの故をもつて、金銭賠償を否定することはできない」

723条の処分と金銭賠償は排斥し合わない

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。