最判昭和38年5月31日
青色申告の更正処分・審査決定の附記理由を不備とし、理由附記の趣旨と求められる記載の程度を示して各処分を取り消した判例
出題:司法H22・司法H26・司法H30・司法R5・予備H27・予備H30・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和36(オ)84 所得税青色審査決定処分等取消請求
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第17巻4号617頁
- 参照法条
- 所得税法(昭和37年法律67号による改正前のもの)45条,所得税法(昭和37年法律67号による改正前のもの)49条6項,行政事件訴訟特例法1条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
所得税青色申請書についてなされた更正処分並びに審査決定の附記理由が不備であるとされた事例。
裁判要旨
所得税青色申告書についてなされた更正処分の通知書に、更正の理由として、「売買差益率検討の結果、記帳額低調につき、調査差益率により基本金額修正、所得金額更正す」と記載されており、また、その審査決定の通知書に、請求棄却の理由として、「あなたの審査請求の趣旨、経営の状況その他を勘案して審査しますと、小石川税務署長の行なつた再調査決定処分には誤りがないと認められますので、審査の請求には理由がありません」と記載されているに過ぎず、右再調査決定の通知書に附記された理由にも、更正を相当とする具体的根拠が明示されていない場合は、右いずれの記載も、法所定の附記理由としては不備であつて、更正処分、審査決定はその取消を免かれないものといわなければならない。
解説
事案
上告人は所得税青色申告の承認を受けており、昭和31年度分の所得金額を309,422円と青色申告書で確定申告した。小石川税務署長は、これを444,695円とする更正処分をした。更正通知書には、理由として「売買差益率検討の結果、記帳額低調につき、調査差益率により基本金額修正、所得金額更正す」とだけ記載されていた。
上告人は再調査請求をした。再調査決定通知書には「実際の調査差益率により店舗の実態を反映したものであり、標準差益率によつた更正ではなく、当初更正額は正当である」との理由が附記された。
続く審査請求に対し、東京国税局長(被上告人)は請求を棄却した。その理由は「審査請求の趣旨、経営の状況その他を勘案して審査しますと…再調査決定処分には誤りがないと認められます」という記載だった。
上告人は更正処分と審査決定の取消しを求めて提訴した。原審(東京高裁)は、理由附記に欠けるところはないと判断した。
争点
- 法が行政処分に理由附記を求める趣旨と、附記を欠く場合の効果
- 青色申告に対する更正処分(旧所得税法45条2項)で附記すべき理由の程度
- 審査決定(旧所得税法49条6項)で附記すべき理由の程度と、原処分の理由との関係
判旨
結論:更正処分・審査決定の附記理由はいずれも法所定の要件を満たさず不備であり、各処分は取り消される(破棄自判、控訴棄却)。
規範
- 理由附記の趣旨は、①処分庁の判断の慎重・合理性を担保して恣意を抑制すること、②処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与えることにある。したがって、記載を欠けば処分自体が取り消される。
- どの程度の記載が必要かは、処分の性質と、理由附記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らして決定する。
- 青色申告の更正(旧所得税法45条2項)では、帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示して、処分の具体的根拠を明らかにする必要がある。
- 審査決定(同法49条6項)では、不服の事由に対応して結論に到達した過程を明らかにする必要がある。ただし棄却の場合は、更正通知書や再調査棄却決定通知書の理由と相俟って原処分を正当とする理由が明らかになっていれば足りる。
判決文から
「処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申立に便宜を与える趣旨に出たものであるから、その記載を欠くにおいては処分自体の取消を免かれないものといわなければならない」
理由附記の二つの趣旨と、欠缺の効果(取消し)
「どの程度の記載をなすべきかは、処分の性質と理由附記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきである」
記載の程度を決める一般的な判断枠組み
「特に帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示して処分の具体的根拠を明らかにすることを必要すると解するのが相当である」
青色申告の更正で求められる理由の程度
「不服の事由に対応してその結論に到達した過程を明らかにしなければならない」
審査決定の理由附記の程度
「審査の請求を棄却する場合には、その決定通知書の記載が当初の更正処分通知書または再調査棄却決定通知書の理由と相俟つて原処分を正当として維持する理由を明らかにしておれば足りるというべきである」
棄却決定は原処分の理由と併せて判断できる
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
