SaySayLaw

特別区長公選制廃止事件

最大判昭和38年3月27日

憲法93条2項の「地方公共団体」の判断基準を示し、当時の特別区はこれに当たらないとして区長公選制の廃止を合憲とした判例

憲法財政・地方自治参政権・国務請求権地方自治法本試験で 5 問(短答 5・論文 0)

出題:司法H27・司法H30・司法R6・予備H27・予備H30

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
昭和37(あ)900 収賄
裁判
判決・破棄差戻
判例集
刑集 第17巻2号121頁
参照法条
地方自治法281条の2第1項,憲法93条2項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

地方自治法第二八一条の二第一項と憲法第九三条第二項。

裁判要旨

地方自治法第二八一条の二第一項は、憲法第九三条第二項に違反しない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

東京都の特別区は、昭和21年の東京都制一部改正で区長公選制が採用された。翌22年制定の地方自治法でも、特別区は「特別地方公共団体」とされ、原則として市に関する規定が適用された。

その後、昭和27年8月の地方自治法改正で、同法281条の2第1項により区長公選制が廃止された。代わって、区長は、特別区議会議員の選挙権を有する25歳以上の者の中から、特別区の議会が都知事の同意を得て選任する方式となった。

本件は収賄被告事件である。原審の東京地裁は、区長公選制を廃止した地方自治法281条の2第1項は憲法93条2項に違反して無効であると判示した。これに対し検察官が、憲法93条2項の解釈を誤った違法があるとして上告した。

争点

  • 憲法93条2項にいう「地方公共団体」とは何か(その判断基準)
  • 当時の東京都の特別区は憲法93条2項の「地方公共団体」に当たるか
  • 特別区長の公選制を廃止した地方自治法281条の2第1項は憲法93条2項に違反するか

判旨

結論:地方自治法281条の2第1項は憲法93条2項に違反しない。原判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。

規範:憲法93条2項の地方公共団体といえるには、法律で地方公共団体として扱われているだけでは足りない。次の両方を備えた地域団体であることが必要である。

  • 社会的基盤:事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識をもっているという社会的基盤が存在すること
  • 自治権能:沿革的にも現実の行政上も、相当程度の自主立法権・自主行政権・自主財政権等、地方自治の基本的権能を付与されていること

こうした実体を備えた団体である以上、その実体を無視して、憲法が保障する地方自治の権能を法律で奪うことは許されない。

あてはめ:特別区は、憲法制定当時も昭和27年の地方自治法改正当時も、この意味の地方公共団体とは認められない。したがって、区長公選制の廃止は立法政策の問題にとどまる。

判決文から

「住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務は、その地方の住民の手でその住民の団体が主体となつて処理する政治形態を保障せんとする趣旨に出たものである。」

地方自治保障の趣旨。規範の出発点

「単に法律で地方公共団体として取り扱われているということだけでは足らず、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識をもつているという社会的基盤が存在し」

法律上の扱いだけでは不足。社会的基盤要件

「沿革的にみても、また現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等地方自治の基本的権能を附与された地域団体であることを必要とする」

自治権能要件。「附与された」の文言に注意

「かかる実体を備えた団体である以上、その実体を無視して、憲法で保障した地方自治の権能を法律を以て奪うことは、許されないものと解するを相当とする。」

憲法上の地方公共団体の権能は法律で奪えない

「それは立法政策の問題にほかならず、憲法九三条二項に違反するものということはできない。」

公選制廃止は立法政策の問題という結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。